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The Last Battle

narnia7.jpg
C.S.LEWIS
The Chronicles of Narnia,book7
HarperTrophy
Full-Color Collector's Edition
p211





ナルニア国物語全7巻の最終巻。
期待に違わず、ものすごく面白い。

第6作のRilian王子の時代から7世代が経過している本作では、冒頭から、これまでとは、どことなく趣が違う。
深刻な危機がナルニア国に発生する。
Aslanがすべての中心であるこの世界では、考えうるかぎり最悪の種類の危機である。

ナルニア国の若き王Tirianは、その中で敵に捕らえられ、窮地に追い込まれる。絶望した彼は、知らず知らず、あの伝説の別の世界の住人たちに呼びかけている。

"Children! Children! Friends of Narnia! Quick. Come to me. Across the worlds I call you; "(p50)

「子供たちよ! ナルニアの友たちよ! 急ぎ私のもとに来たれ。世界のかなたから。」


するとTirianの目の前に不思議な光景が浮か上がる。見慣れない格好をした、さまざまな年齢の男女がある家に集まり、ちょうと食事を終えたところらしい。彼らがこちらを見ている。

Then Tirian realized that these people could see him: they were staring at him as if they saw a ghost. But he noticed that the king-like one who sat at the old man's right never moved ( though he turned pale ) except that he clenched his hand very tight. Then he said:
"Speak, if you're not a phantom or a dream. You have a Narnian look about you and we are the seven friends of Narnia."(P51)

「ティリアンは、この人々には彼の姿が見えていることが分かった。まるで幽霊を見るかのように彼をじっと見ていた。その中でも老人の右隣に座っている王の品格のある男は、青ざめてはいたが、手をぎゅっと握りしめ、じっと動かなかった。そして言った。
「語れ。亡霊や夢でないならば。あなたはナルニア風の様子をしている。われらはナルニアの7人の友だ。」


おお! 懐かしい顔ぶれ!
物語はこのあたりから波瀾万丈で、この先こうなるだろうなと勝手に先読みしたとおりにはまったく進まず、予想を裏切り裏切り進んでいくので、目が離せない。

最期はまさにオールスターキャスト。前6作の主要登場人がすべて登場して大団円を迎える。シリーズの最期にふさわしい内容である。

とはいえ、単なるハッピーエンドのファンタジーとして終わらない、ある種の重みのようなものが読後感として残るのは、「ナルニアの友」たちのこちらの世界での出来事のせいである。
普通一般には、彼らを襲ったアクシデントは悲劇として捉えられるだろう。

本シリーズはキリスト教児童文学の傑作といわれており、むろんアスラン=イエス・キリストである。キリスト教を信じる人々は、この「ナルニアの友」たちの運命をどう受け取るのだろうか。

上のほうでこの作品を誉めたけど、じつはピンとこないのが、最期に登場人物たちが向かう国の部分である。そこは、住んでも楽しそうには見えない。それはやっぱり、ユートピアを描こうとすると、だれがやっても退屈に見えてしまうというルールがあって、ここでもそれがあてはまるということだろうけれど、もうひとつは、現世は悲劇であっても、良いことをしていれば来世で救われるんだという通俗的な説教部分が出てきて、それに対する違和感からだと思う。

現世で善を積んでおけば死んだあと天国に行けてハッピーというような、どこか貧乏くさい考えを作者が読者に伝えたかったとすれば、むしろ、「最近、口紅や招待状にしか関心がない」(p154)というスーザン、ナルニアは子供のころ夢物語であるといって「ナルニアの友」であることを止めてしまった彼女の生き方のほうが、私にはよほど健全なように思える。
そういうことで、宗教的勧誘の観点から言えば、最期の最期でこの作品は私に対しては逆効果になってしまったようである。

それでも物語としては7冊中で最も面白い。映画のナルニアシリーズの方が現在どうなっているのか分からないけれども、そのうちぜひ映画化してもらいたいものである。
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