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有頂天時代

おととし、タイム誌によるオールタイムベスト100に選ばれた映画。
そのときの記事を適当に訳したことがありました。こちらです。
再掲すると、

「これはどこからみても、我々のリストの基準を満たしていない作品である。馬鹿げたストーリー(あるギャンンブラーがバンドリーダーと婚約中の女の子を口説く等々)、気の抜けた会話、スタニスラフスキーやマーティン・スコセッシならば水準以下とみなすだろう平凡な演出や演技。しかしこれこそがミュージカルだ。繰り広げられる歌(作曲:ジェロームカーン、作詞:ドロシー・フィールズ)と踊り(振付:フレッド・アステア、エルメス・パン)はどうだ。フレッド・アステアがジンジャー・ロジャースを優しくリードするとき、その優雅さはまさに軽妙洒脱そのもの。ハリウッド黄金時代のアメリカン・スタイルの神髄を示す。コミカルなデュエット「ピック・ユア・セルフ・アップ」では、フレッド・アステアは怒れるジンジャーを完璧なパートナーにしてしまう。クライマックスのナンバー「もう踊らない」では、完全に調和した踊りによって、求愛、勝利、口論、および喪失を、わずか5分間の詩の中に注ぎ込む。言葉よりもウィットに富んだ動きで、どんなキスよりも熱い情熱を示すステップや一回転で、フレッドとジンジャーは、美と恋と完全な幸福感をわれわれの目の前に生み出すことに成功しているのだ。」

1936年のミュージカルだからモノクロです。
一度目を見たときは、そこまで絶賛されるような作品なんだろうかと思いました。たわいもない冗談と適当なシナリオでできた娯楽映画で、フレッド・アステアは単に踊りがうまいだけの軽薄男にしか見えないし、あちこちで、そんな仕打ちはありえないだろうという場面が出てきます。ジンジャー・ロジャースと知り合うところとか、バンド・リーダーに対する扱いとか。普通に考えたら言語道断。
そももそも、ギャンブル中毒で結婚式もすっぽかしてしまうような人間が、その「才能」でどんどんお金儲けして美人も手に入れて万事めでたしめでたしというようなストーリーそのものがいい加減もいいところ。

でも二度目を見て思いました。この映画はそんなところにひっかかってはダメなんですね。
これはたしかに、幸せな気持ちになるための映画です。タイム誌のいう「美と恋と幸福感」に溢れた映画。その中の恋する美男美女の歌と踊りを見て、それを味わって、われわれも幸せになるための映画なんですね。

ですから、見る側も、やっぱり恋する彼氏と彼女とか、あるいは今からそうなりたいと思っている人たちとかがふさわしいんで、そういう二人が映画館でデートするときにこの映画はぴったりだったんだろうと思います。もう映画館で上映されるなんてことはないでしょうから、今だったら、どちらかの部屋で見ることになるのかな。その時はできるだけ大画面でみることをお勧めします。踊りが素晴らしいですからね。一人でDVDで見ていてもこの良さはなかなかわかりずらいような気がします。80年前にこの映画を作った人たちも、まさか深夜に中年男からじっと観られるはめになるとは思っていなかったでしょうから。

恋する人たち向けということは、つまり基本的には若い人向けの映画ということですね。全体にただよう軽繰的な感じ、ひどく楽天的な感じも、あれはやっぱり若さと関係があると思う。未来に対する信頼感と希望。将来は明るいという無条件の期待。なんといっても主人公のあだ名がラッキーですからね。屈折を知らなかった時代のアメリカのとても素直で無邪気で脳天気な映画。

こういうのが本当の意味での娯楽映画といえるのかもしれません。ゴージャスな綿菓子みたいです。映画がいつもいつもこってりした厚肉である必要はないですからね。あわいけれども、貴重で楽しい映画です。

原題:SWING TIME
DVDはこちら
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