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プリティ・リーグ

アメリカの野球映画には、踏まえなければならない基本なパターンがあるように思います。
どのジャルンルでも多かれ少なかれそういうものがあるようで、たとえば音楽映画ならば、最後に主人公がステージで演奏して満場の拍手喝采を浴びるというシーン。破滅SF映画ならば、最後に大統領が粗末なひな壇から残された市民に向かって復興のスピーチするシーン。大統領のシーンははなんで必要なのかよくわからないけれども、音楽映画はやっぱりあれがないと盛り上がりに欠けるのは確かですね。

ラストシーンに限らず、物語の途中途中でも、いわばクリシェ(決まり文句)みたいなシーンは必要で、物語の中にうまくはまると見ているこっちは落ち着くし、予定調和のカタルシスを味あわせてくれます。すこしひねりがきかせてあると、今度はそう来たと思わずにんまりしてしまう。それは映画ファンに対するサービスのひとつでもあるし、制作者側の伝統的なジャンルに対する知識と敬意の見せどころでもあるでしょう。ただし、うまくやらないと、なんの変哲もない映画になりかねませんが。

野球映画でいえば、まず主人公が田舎の出身であること。そしてアメリカ西部の小麦畑のシーン。古き良き時代のアメリカ。そこに背広を着たスカウトが、キャデラックかロールスロイスで乗りつける。そして野球が大好きだけど、自身の才能を自覚していない少年。彼を連れて大都会へ。そこでのテスト。驚愕するスタッフ。入団決定。しかしあんまりやる気のない監督でチームは連戦連敗のダメチーム。バスによる移動。チームメイトとのらんちき騒ぎ。球団の足を引っ張る金儲けしか関心のないオーナー。球団売却の噂。一致団結して戦うチーム。連戦連勝。そして優勝のかかった最終決戦へ。

だいたいこういうのが野球映画におけるパターン。

実在した女性によるプロ野球リーグを題材にとったこの映画も、こういったパターンをほぼ踏襲しています。というより主人公が女性たちですから、すべてが従来のパターンに対する新たな展開になるわけです。そういう意味ではクリシェのやりたい放題。これは題材の勝利とえいえるでしょう。

時代は第二次世界大戦。メジャーの選手達も戦争に出征していないため、銃後(古い言葉だなあ)の女性たちによるプロ野球リーグが創設される。オレゴンの片田舎の主人公ドティ(ジーナ・ デイヴィス)とキット(ロリ・ペティ)のところにもスカウトがやってくる。選手を集めながら舞台はシカゴへ。テスト会場ではチームメイトとなる外野手メイ(マドンナ)が登場。
監督には元ホームラン王で足の負傷のため引退し、いまや酒浸りのジミー・ドゥーガン。(トム・ハンクス)

映画は姉妹の争いもからんで劇的な決勝シーンにむかって進んでいきます。10年ぶりぐらいにDVDで見たけれども、やっぱりいい。見たときはそこまで思わなかったけれども、これは数ある野球映画の中でも傑作とよんでいい作品だと思います。
とくに姉ドティに逆転打を打たれてベンチの片隅で頭を抱え込む妹キットの姿が忘れがたい。あそこからの決着シーンはまさに野球映画ならではの展開です。

印象的な言葉がいくつか出てきます。
英語の勉強もかねて、原文を探してきました。

● 中継プレーを怠ったエブリンに対して、監督ドゥーガンが激怒。その最中に相手が泣き出したため、完全にキレてしまった監督のセリフ。(下品でぐうたらなアル中オヤジのトム・ハンクスの怪演ぶりが可笑しい。その後この人の映画を何本か見た後でも、あの変な監督がトム・ハンクスだったとは気がつきませんでした)
"Are you crying? Are you crying? ARE YOU CRYING? There's no crying, there's no crying in baseball. Rogers Hornsby was my manager, and he called me a talking pile of pigshit. And that was when my parents drove all the way down from Michigan to see me play the game. And did I cry? NO. NO. And do you know why?"
" No, no, no.!"
" Because there's no crying in baseball. "


(意訳)
「泣いてるだって? 泣くだって? オマエは泣いているのか? そんなはずはない。野球には泣くなんて言葉はない。俺の監督だったロジャー・ホーンズビーは、俺のことを喋る豚の糞野郎だと言った。両親がミシガンからはるばる車で見に来てくれた試合でだ。それで俺は泣いたか。そんなことはない。なぜだかわかるか」
「いいえ」
「なぜなら野球には泣くという言葉はないからだ!]

● トム・ハンクスの監督のぐうたらぶりに、球団幹部が皮肉たっぷりに言う言葉。
"If we paid you a little bit more, Jimmy, do you think you could be just a little more disgusting?"
"Well, I could certainly use the money. ”
  

(意訳)
「もしあんたにもっと金を払ったら、もっといやな奴になれると自分で思うかい?」
「そうだな、その金を使うことだけは確かだな」

● ワールドシリーズの直前、戦場から帰った夫と故郷オレゴンに帰ることを決めた主人公ドティと、いまや酒を断ち、監督に専念するドゥーガンとの会話。最終決戦に至る長いライマックスの導入部を飾るこの映画でもっとも印象的なシーン。
"It just got too hard."
"It's supposed to be hard. If it wasn't hard, everyone would do it. The hard... is what makes it great."


(意訳)
「野球は私には、とても難しすぎる」
「そういうものなんだ。困難でなければ誰でもやってる。困難だからこそ、偉大なんだ」

威力ある言葉。
拳拳服膺しよう。

原題: A League of Their Own
製作:1992年

引用はこちらから。
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