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The Adventures of Huckleberry Finn

Mark Twain
1885
Penguin Books
p394


マーク・トウェインの代表作。
1876年の「トム・ソーヤーの冒険」発表後、断続的に書き続け、9年後の1885年(明治17年)に完成。

子供向けの「トム・ソーヤーの冒険」とは違い、奴隷制度が存在した資本主義勃興直前のアメリカ、南北戦争(1861-65)前の開拓時代の雰囲気を色濃す人々の暮らしやミシシッピー河畔の牧歌的な風景を背景に、浮浪児ハックルベリー・フィンと黒人奴隷「ジム」の逃避行を、少年ハックの独白という形で、ユーモアたっぷりに描く大人の読み物。

作中の英語は、なかなか難しい。
複雑な構文は出てこないが、冒頭で著者が説明しているとおり、いろいろな方言が出てきて、これがなかなかたいへんだ。

「トム・ソーヤーの冒険」では、ハック自身も無教養な話し方をする子供として描かれていたが、あれからきちんと教育を受けたことで、この作品の地の文章(かれの独白)は、ほぼ正規な表現になっている。

だが黒人奴隷ジムの言葉は、かなりいびつなスペリング。ものすごくナマッっているかんじ。たとえば、こんなふうだ。

川に溺れて死んだことになっていたハックルベリ・フィンが、逃亡中のジムに出会う場面。

'Hello, Jim!' and skipped out.
He bounced up and stared at me wild.Then he drops down on his knees, and puts his hands together and says:
'Doan' hurt me - don't! I hain't ever done no harm to a ghos'. I awluz liked dead people, en done all I could for 'em. You go en git in de river again, whah you b'longs, en doan' do nuffn to Ole Jim, 'at 'uz awluz yo' fren'.'

(Chapter8 p94)

正しい表記に改めてみた。

'Hello, Jim!' and skipped out.
He bounced up and stared at me wild. Then he dropped down on his knees, and put his hands together and said:
'Don't hurt me - don't! I haven't ever done no harm to a ghost. I have always liked dead people, and done all I could for them. You go and get in the river again, where you belong, and don't do nothing to Old Jim, that was always your friend.'


(試訳)
「やあ、ジム」と言って飛び出したんだ。
ジムは驚いて飛び上がり、狂ったような目でこっちをじっと見た。
それから膝を落とし、手を合わせたんだ。
「どうか、許してくだせえ。おらは幽霊に悪さをしたことは決してねえです。死んだ人がいっつも好きで、できることはなんでもしてきたです。どうかあんたの居場所の川の中に戻って、可愛そうなジムを手を出さねえでくだせえ。ジムはいっつも友達だったです。」


ここの独特の綴りは、「視覚方言」といって、無教養あるいは弱年者の話し言葉を表現するため、または方言、口語的なスピーチを伝達するために使われるそうだ。(英辞郎 on the Web)

耳で聞いた場合の音を想定し、それを正規の表記に戻して理解しなければならないので、ちょっと面倒だ。面白いけど。だいたいのところはわかったつもりだが、チンプンカンプンな箇所もあちこちにあった。

第21章では、ハックとジムの筏に同乗する詐欺師2人によるハムレットの有名な場面(第3幕第1場、「生きるべきか死すべきか」(To be or not to be」から「尼寺へ行け!」(To a nunnery, go.)までの場面)のパロディーがあるのだが、むこうの教養ある人や、日本の真面目な英文学科の生徒ならたぶん暗記しているだろうこの場面のオフザケは、そういう人たちにはかなり面白いだろうと思うのだが、そうでないこちらにとっては、残念ながら理解不能。単語も難解で頭が痛くなる。

最後の数章は、以前からこの作品を損なう部分として評判が悪いらしい。
たしかに、おなじみの人物が再登場してそのときだけ盛り上がるのだが、話が子供っぽくなって、それまでのクオリティがかなりダウンしてしまう。
ただ、これ以外に作品の終わらせようがなかったのかもしれない。

じつをいうと「トム・ソーヤ-の冒険」から本作品の途中まで、ハックルベリイ・フィンは黒人の子供だと思っていた。
どこでそういう勘違いをしてしまったのかわからない。
作品を読むずいぶん前から、そういう先入観を持ってしまっていたようだ。

ハックと奴隷のジムとでは、まわりの大人の対応がずいぶん違っているので、白人の子供でないとおかしいはずなのだが、なんで気がつかなかったんだろう。
お恥ずかしい話です。



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