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蝉しぐれ

藤沢 周平
文藝春秋
文春文庫
p470


藤沢周平は長編より短編、などと書いたが、すぐその誤りを見せつけられた。

解説の中で文芸評論家の秋山駿氏はスタンダールの「赤と黒」を例に出しながら、本作の出だしの部分は、西欧的近代文学の正当な嫡子といった趣であると述べているが、出だしだけでなく、全体のがっちりした構成は、たしかに日本の時代小説というよりも、19世紀のヨーロッパ文学を思わせる。とくにフランス文学で、私はスタンダールよりもバルザックを思い出した。それも抒情味あふれる清新で清潔なバルザックを。

本格長編小説という言葉にふさわしい作品。

表紙のイラスト。
どの場面だったか、いま気がついた。
感慨無量。





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