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企業内起業家(イントラプルナー)

ギフォード・ピンチョー
清水 紀彦=訳
講談社
講談社文庫
p527


企業内起業家(イントラプルナー)とは、言葉のとおり、企業で働きながら、その中で新しい事業を起こす人のこと。

この言葉を最初に使い始めたギフォード・ピンチョー自身による本書は、企業内起業家として事業を成功させるためのノウハウや実例が詰め込まれていて、この一冊でイントラプルナーのすべてが分かる。

著者は、企業を飛び出してベンチャービジネスを始めるよりも、自分がいまいる企業の技術や情報・人材・販売網を使って新たな事業を立ち上げる方が成功の近道であると説く。

一方、経営者に対しても、イノベーションを生み出す企業内起業家は会社にとってきわめて貴重な存在であり、かれらの能力の活用し活動を支援することが、会社の存続にとっていかに重要であるかを説く。でないとそういう優秀な社員は外に出ていって、みずからベンチャーを立ち上げ、会社の強力なライバルとなるだろう。

ちなみに、ある人が1979年に自分の会社を立ち上げようと、3年前自分がそこで働いていたときに最も優秀だと思えたヒューレッド・パッカード社の社員30名に声をかけようとしたが、2人しか残っていなかったという。28名は自分でベンチャーを創設するか、よそに引き抜かれてしまっていた。(p432 「第10章 企業内起業家のキャリアパスに沿った報奨制度」)

転職が当たり前のアメリカならではの話であるが、この本が出たのが1985年で、シリコンバレーが有名になったのが1990年代後半だが、そのころにはベンチャーを目指す人々はもっと増えていたはずで、既存の大企業にとっては、社内の優秀な人材の流出を抑えつつ、次々に現れる革新的な事業に対抗していくのに大わらわになっていたはずで、つまり、企業内起業家の活用や処遇の問題はより重要なテーマになっていたのではないか。本書はそういう問題をいち早く網羅的に取り扱ったという点で先駆的な意味を持つのではないかと思うが、その辺は詳しくないのでわからない。

日本でもイントラプルナーという言葉は聞かれるようになったが、米国とはだいぶ様子がちがうように思われる。

終身雇用制は崩壊しつつあるとはいえ、米国に比べれば企業への固着度はまだまだ高い。創意工夫に富む有能な人材がいたとしても、会社を飛び出してまでやるという人はそうたくさんいるわけではないだろう。それよりも、安全に退職までまっとうするほうを選ぶのではないか。
しかしそれは、ここで出てくる起業家たちとはまったく逆のベクトルだ。そういう場所からは企業内起業家は出てこない。

そればかりか、そういう人々の安定・安全志向は、その企業の中にもいるもしれない企業内起業家の大きな壁となっているに違いない。

イントラプルナーというのは、要するに、何か新しい事業を起こしたいだけのもの好きな社員である。かれらはやむにやまれずイノベーションを起こし、突っ走る人間である。かれらのもたらす成果は会社全体に大きな利益をもたらす。

しかしそうした人間は、とかくルールを無視したり、余計な仕事を増やしたりするので、大部分のサラリーマンにとっては迷惑な存在である。

人とは違ったことをやりたがる、新しいことを好む、チャレンジしたがる人間というのは、本人たちがそう思っているほど、どこにでもいるものではない。かれらはごく少数派である。大多数の人々は、安定した仕事、決まった仕事、昨日までと同じ仕事、同じ約束事、同じ思考パターンを好むものである。

「大企業の機構と官僚組織は、新しいのはなんでも拒絶する傾向をもっている。」
(p254 第7章 スポンサー―新しいアイディアの後援者―をみつける)


そのとおり。
企業内起業家は、もの好きにも、誰からも命じられたわけでもないのに新たな仕事を作りだす。夢のようなことを言い始め、聞いたこともない奇怪な理屈をこね、奇妙な資料を出してきたり、説明のつかない出張をやりはじめる(特に最初の段階ではそうだ)。

これが他の社員にはわからない。その動機が皆目見当がつかない。最終的に産み出されることになる新たな価値や利潤は、反対し、陰口をたたき、積極的にはなにも協力しなかった彼らも潤すことになるのだが。

この本が出版されて30年経つ。
その間に、日本でもベンチャービジネスも、そう珍しいものではなくなった。
会社での働き方が異なる日本でも、大企業病を克服し、イノベーションを起こしていくためには、本書の示唆する内容は非常に重要になってきているのではないか。
(それだけに現在日本語訳が絶版となっているのが惜しまれる。)

なお、本書は書かれた1985年は日本経済は絶好調で、米国は日本企業の大攻勢に苦しんでいた時代ある。
あちこちにみられる日本企業へのリスペクトがほほえましい。
こういう時代もあったのだ。

企業内起業家の十誡

01 毎日クビを覚悟で働くこと。

02 自分の夢の実現を妨げる命令は、すべて回避して実行しないようにすること。

03 自分のプロジェクト推進に必要な仕事は、職務規定に拘束されずにすべてやってしまうこと。

04 協力者をつくること。

05 協力者の選定にあたっては、自分の直観に頼り、もっとも優秀な人物とだけいっしょに仕事をすること。

06 できるだけ長く地下活動に徹すること。活動が公けになれば、企業の拒絶反応を誘発することになるからだ。

07 自分が直接関与できるプロジェクトのみ全力投球すること。

08 失敗して許しを乞うほうが、プロジェクトのスタートの認可を請うよりたやすいものだということを心得ておくこと。

09 あくまでも目標をめざすこと。ただし、目標に到達するためには、現実的な姿勢で臨むこと。

10 社内の後援者を尊ぶこと。

(p50 第1章 新しい企業内起業家精神)



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