トップページ | 全エントリー一覧 | RSS購読

since2004.10.27

最近の記事

カテゴリー

RSSフィード

リンク

Search 

Ranking

ブログランキング・にほんブログ村へ

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
53位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋書
2位
アクセスランキングを見る>>

Calendar

01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -

+ アーカイブ
 

ニェートチカ・ニェズヴァーノヴァ

ドストエフスキー
小沼文彦=訳
筑摩書房
ドストエフスキー全集第2巻
p99―259


ドストエフスキーの第12作。
1849年 28歳

三部からなる未完の中編。
中編といってもけっこう長い。他の作家だったら立派な長編といえるだろう。

作者がペトラシェフスキー事件に連座して逮捕されたため、続きが書かれることはなかった。

できばえはというと、あまりよろしくない。

主人公ニェートチカの義理の父親で、才能あるヴァイオリニストの不遇な生涯を描いた第一部は、破滅型人物の描写なら右に出る者のないドストエフスキーの面目躍如で、面白かった。
ただ、第2部以降は読むのがつらい。

物語は一人の女性の成長がテーマ。
数日間のドラマなら、どれほど濃密重厚で長大な物語であっても、読者を引き込んで最後まで突っ走っていく才に恵まれたドストエフスキーといえども、長期に渡る人生の階梯を描く種類(ロマン・ロランとかトーマス・マン風のもの)を書くのは苦手なようだ。書けるのは書けるのだろうが、面白くならない。

このまま続けてもいずれにしろ失敗作に終わっただろうから、シベリア流刑から復帰した約10年後、継続を断念したのはまったく正解だった。専門家でもないのに偉そうなことを言っているようだが、この作品の後始末に時間を費していて後期のあの傑作群を書く時間がなくなったとしたら、それこそ取り返しのつかない損失となっただろうから、結果論から言っても、止めて良かったと言うべきである。

そういった平凡な作品ではあるが、女性の一人称で語られる(ドストエフスキーの女性一人称!)の冒頭は、太宰治の小説のどれか(斜陽かな?)を思わせるところがあるし、破滅した芸術家の怠惰な自尊心を剔抉する部分は、山月記の李陵を思わせて、なかなかである。これらはいずれも第一部で、第二部以降は作者が盛り上げよう盛り上げようとしているにもかかわらず、うまくいっていない。退屈である。

この作品を最後にドストエフスキーの初期作品群は終わる。
それとともにドストエフスキーの20代も終わる。


このエントリーのタグ: ドストエフスキー
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント