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社会保障亡国論

鈴木亘=著
講談社
講談社現代新書
p292


本書を読む人は、年金制度の不公平さが、自分の身に一番応えることとして印象に残るかもしれないが、問題はそれにとどまらない。
このままいけば社会保障制度が崩壊する。

社会保障制度の崩壊というのは、社会基盤の崩壊である。
そのときどうなるかというと、高齢者だけ限ってみても、病気になっても病院にかかれない、施設に入ろうとしても施設がない、いわゆる漂流老人が大発生する。

経済は行き詰まり、破綻することは目に見えているが、残念なことに、誰も手をつけられずに、最後まで突っ走っていかざるをえないだろう。

人口構造が将来どうなるかということは、もう数十年前から分かっていたことだ。人口シミュレーションは、そう難しいものではないし、そんなことをやらなくても、高齢者が多くなり支える層が少なくなれば、社会制度を維持できなくなることは誰でも分かることだ。わかっていたのに、誰もどうにもできないでいる。
であれば、これからも、どうしようもないだろう。

それは原発問題と似ている。
原発がヤバイというのは、二十年前三十年前からいろいろなところで語られ、書かれ、訴えられてきた。
危機は叫ばれていたけれども、当面の利害関係のために、物事は動かない。

結局事故は起こってしまった。
起こってしまったあとでも、事態の最終的な責任は誰にあるのか問われないまま、また再開されようとしている。

社会保障の問題も、このまま進むだろう。
このまま進んで、どこかの段階で、社会保障問題の「フクシマ」が訪れるだろう。

それはおそらく、15年後の2030年あたりではないか。
いま65歳の団塊の世代が80歳になり、介護が必要な人や、死者が急激に増え始めるが、病院や施設がなく、かといって住める家もなく、孤立死や野垂れ死が多発するだろう。
あるいはその前に、日本経済が社会保障費の負担に耐えかねて破綻しているだろう。

いずれにしても、破綻は早いほうが痛手は少なくてすむ。回復も早い。

残念ながら、そこまでいかないと、抜本的な見直しはできない。
そんな事態が本当にくるのかと思う人がいるかもしれないが、間違いなくそうなる。
著者の危機感に、私は完全に同意する。

ただ、破綻を回避するための努力について、著者は厚生労働省のサボタージュを疑っているが、私の意見は異なる。
厚生労働省がシャカリキになって進めている介護医療の一体改革法案や地域包括ケアシステムは、そのためのものであることは明らかだ。

ただ、その程度でいいのか、それのみが正しい方向なのか。著者から見れば、たぶん不十分かつ遅すぎるとしか映らないだろうが、それは、厚生労働省の怠慢というよりも、破綻回避の手を打とうという勢力と、現状維持勢力のせめぎあいの結果と見るべきだと思う。役人の中で改革を志す者がいたとしても、現実の政策としては、妥協の産物としてしか出てきようがないからだ。

著者によると、社会保障問題を経済学者が扱うことに対して、抵抗感が強い介護や福祉の関係者がいるらしい。
だが、この分野の問題はもはやそういった狭い世界の問題ではなく、国家財政を直接左右する話である。
それがギリギリの状況にあるということなのだ。

このエントリーのタグ: 社会保障制度 地域包括ケアシステム
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