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異邦人

カミュ
窪田啓作=訳
新潮社
新潮文庫
p146


読んだのは高校時代以来だろうか。
ストーリーはすっかり忘れていた。

当時は「不条理」という言葉の意味も分からないで読んでいたので、退屈な小説だと思った記憶がある。
それでも勢いで読んだ。あとに何も残らなかったけれども。
図書館にあった新潮世界文学全集で読んだのだが、同じ本に収録された「ペスト」の方が印象に残っている。

いまになって、ようやく作者が何を伝えようとしていたかがわかる。

若者の繊細な感受性で、社会生活の欺瞞を具象化したのがこの作品で、誰もが知ってはいるのだがあえて意識に登らせずにいたミもフタない真実を、はじめて世の人の前に示した。
そこにカミュの天才性があり、社会に衝撃を与えた。

1942年発表。
いまから70年以上前の作品だが、既成の常識を、非情な語り口で破壊していくところが、とてもクールだ。
若者たちが熱狂したのもわかる。

だが、この作品で取り扱っているのは、いわゆる社会常識の胡散くささであって、それを「不条理」とまで言ってしまうのは、若者や芸術家特有のナイーブで大げさすぎる言い方に思える。
そう思うのは、こちらが世俗の垢にまみれたオヤジになったせいか。


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