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葉山嘉樹集-17 ⑩文学的自伝

文学的自伝 ―山中独語―

1936年(昭和11) 42歳

葉山嘉樹は若いころから非常にモテる男だったようである。

この本の巻末にあるあまり正確ではない年譜を見るかぎりでも、二三歳で結婚・離婚、その後二人の女性に四人の子供を産ませ(子供はいずれも死去)、三二歳で駆け落ちして三人の子をもうけている。

少年時代から早熟で女性にだらしなかったと自伝にも書いているが、年をとっても女癖の悪さはあいかわらずで、作家の平林たい子を口説こうとしたのはこの作品を書いた翌年の、作家連中との白浜・勝浦旅行の時ではなかったか。

当の本人からそのときのことをバラされている。相手が悪かった。
ここでの教訓は、不倫を試みて失敗した恥かしい記録を後世に残したくなかったら、女性作家には手を出さないほうがいいということである。

かれがモテるのも当然で、色が浅黒く背が高く、早稲田大学中退のインテリで海外航路の船員《マドロス》の経験があり、当時は危険視されたプロレタリア文学の雄としての名声を博しており、女性経験も豊富で、しかも家庭的には過去の暗い陰を背負っているという、まるで戦前のフランス映画の主人公のような背景を持つ上に、作品は非常にハイカラでハードボイルドときては、世のインテリ婦女子が放っておくわけがない(だから子供の数もほんとにあれだけだったのかわからないと思う)。

こういう男だから、後年、移った先の農民たちとソリが合うわけがなく、田舎暮らしではずいぶんひどい目にも会い、苦労したことと思う。

しかしかれの作品では女性とのドロドロした話や、田舎の住民とのネチネチとした葛藤は、まったくといっていいほど出てこない。サッパリしている。実際かれはそういうサッパリした男だったのだろう。かれはカッコいいのである。だからこそまたモテたのであろう。

飯場暮らしが長かったので、親分子分の付き合い方も心得ていただろうし、おそらく切ったはったの世界もずいぶん見てきただろうと思う。

市民常識では測れない、野性味のある男性的な人間ではなかったかと思うのである。

ただし、大酒飲みではあるし、結局文章を書くこと意外に能力はなく、もしあったとしても発揮しようとは思っていなかったから、作家という特殊な世界以外では、貧しく、うさんくさい、余計な人間としてしか評価されるはずはなかった。

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