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葉山嘉樹集-1 プロローグ

筑摩書房
筑摩現代文学大系36
p494


この本には葉山嘉樹の十八の作品が収められている。

社会主義イデオロギーに基づく激しい抗議からスタートしたかれの作品と生涯は、太平洋戦争に向かって言論弾圧と思想統制を強めていく当時の社会情勢と切っても切り離せない。それはあたかも、この国が全体主義国家に変貌していく中で、どこまで小説としての表現が可能か、また、ものを書く以外に生きる才覚を持たない人間がどうやって生き延びていけるかのリアルな実験を見ているかのようだ。

思想を奪われ、ペンと紙を奪われた五十年余の生涯は、戦争が終わって満州から引き揚げる列車の中の野垂れ死で終わる。

作家生活を覆った時代の重圧が取り払われた後すぐの死は、弾圧国家のもとでの抵抗作家の生きる可能性というかれに課せられたテーマ――むろん本人が望んだわけではなく、めぐりあわせというほかないが――を鮮やかに浮かび上がらせる。


筑摩現代文学大系〈36〉葉山嘉樹集 (1979年)筑摩現代文学大系〈36〉葉山嘉樹集 (1979年)
(1979/02)
不明

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