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2016年01月のエントリー一覧

  • よろずや平四郎活人剣(下)

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p494緩み具合といえば、友人(?)明石半太夫。詐欺漢まがいのこの人物の造形もさることながら、主人公とのつきあいぶりが、いかにも古き良き江戸の、人と人との関わりを彷彿とさせる――もちろんそれは創作された世界ではあるが、そういう緩さもありえたのだろうと思わせてくれる――もう一人の友人、朴訥な人柄の北見十蔵、そして主人公である神名平四郎、この三人の掛け合いぶりは目が離せない。といって...

  • よろずや平四郎活人剣(上)

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p463すべての作品を読んだわけではないが、「よろずや平四郎活人剣」は、藤沢周平の円熟期を代表する傑作ではないかと思う。緊迫感のあるきびきびした展開はいつもどおりだが、従来にまして、軽妙洒脱さが表にあらわれている。その絶妙な緩み具合がよい。...

  • 人間の檻 獄医立花登手控え(四)

    藤沢 周平講談社講談社文庫p366すべて読み終わってみて、感想を一言でいうと、さわやかな物語だった、ということ。小伝馬町の牢獄医師という主人公の設定の他に、4冊それぞれのタイトルに「檻」という単語が用いられているので、窮屈で真面目な話というイメージもあったのだが、そんなことはまったくなかった。なぜそういうタイトルにしたんでしょうね。手品のように次々に物語が生み出されていくさまは圧巻ともいってよく、中井...

  • 愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)

    藤沢 周平講談社講談社文庫p321主人公が江戸時代の牢獄医という設定から、暗くて陰惨な話が中心だろうとイメージしていたが、読後感はカラッとして明るい。おもわずニヤッとするやりとりがたくさん出てくる。この設定から、こういう楽しい読物を創り出すのは、作者の力量というほかない。...

  • 風雪の檻 獄医立花登手控え(二)

    藤沢 周平講談社講談社文庫p303解説を読んだら、物語の主要な眼目がネタばれされていて、興覚め。しかもそれでもって作品を誉めたつもりになっている。こういうのって、サッカーの録画を見る前に結果を告げられるのと同様で、せっかくの楽しみがおじゃんである。物書きを生業とする人間が、その程度の最低限度のマナーをわきまえていないというのは噴飯もの。解説した女流作家はもう亡くなっていて文句の言いようもないのだが、版...

  • ユマニチュード入門

    本田美和子イヴ・ジネストロゼット・マレスコットティ介護現場において、人間の尊厳を大事にするケアということはどういうことか、それを技術化したのものがユマニチュードだと理解した。日本にも優れた介護者はたくさんいるのだろうが、そういう人々のケアの手法は技術化されておらず、またそうしようという努力もほとんど行われていないのではないか。優しい心が大事など、精神論が語られるばかりで、ケア手法や業務改善や環境改...

  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)

    藤沢 周平講談社講談社文庫p345主人公の立花登は、江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師。柔術の達人でもある。居候先の叔父夫婦の一人娘おちえは、現代風のバカ娘。主人公とおちえの今後の展開に目が離せない。...

  • 藤沢周平全集 第4巻 士道小説短篇(1)

    藤沢 周平文藝春秋藤沢周平全集第4巻p557直木賞受賞作である「暗殺の年輪」ほか、昭和48年から50年にかけて書かれた以下の短編を治める。暗殺の年輪、ただ一撃、紅の記憶、証拠人、唆す、恐妻の剣、潮田伝五郎置文、密夫の顔、嚔、十四人目の男、桃の木の下で、臍曲がり新左、夜の城、冤罪、一顆の瓜、鱗雲、鬼気、竹光始末、果し合い、遠方より来る、乱心、雪明かり計22編。なかでも「臍曲がり新左」が傑作。シリアスな作品が多...

  • 生涯現役キャリア作戦~シニア産業カウンセラーからの提案~

    青木 羊耳朱鳥社p19120歳から60歳までの40年間、一日10時間を通勤と仕事に費やしたとする。週休二日制の場合、1年間の勤務日数が約250日だから、40年×10時間×250日=10万時間となる。60歳から80歳の20年間、食事や睡眠時間など、生活維持に必要な時間を10時間とすると、一日の自由時間は、24時間-10時間=14時間20年間では、20年×14時間×365日=約10万時間つまり、60歳以降は、それまで働いていたのと同じ量の自由時間を持つこと...

  • 蝉しぐれ

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p470藤沢周平は長編より短編、などと書いたが、すぐその誤りを見せつけられた。解説の中で文芸評論家の秋山駿氏はスタンダールの「赤と黒」を例に出しながら、本作の出だしの部分は、西欧的近代文学の正当な嫡子といった趣であると述べているが、出だしだけでなく、全体のがっちりした構成は、たしかに日本の時代小説というよりも、19世紀のヨーロッパ文学を思わせる。とくにフランス文学で、私はスタ...

  • 老後破産~長寿という悪夢~

    NHKスペシャル取材班新潮社p231「老後破産」という言葉を生み出した「NHKスペシャル」が2014年9月に放映され、さきほどの「下流老人」が出版されたのが2015年6月、NHKスペシャルの番組内容を書籍化した本書が翌7月に続いている。単身高齢者の悲惨な生活実態が、多く人々の注意を集めるようになった。これからさまざまな対策を講じられていくに違いない。だが、問題はそう簡単に片付かないし、都市部の高齢化は急速に進むだ...

  • 下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 その2

    藤田 孝典朝日新聞社朝日新書p221前のエントリーで小難しい感想を書いたが、実は、本書でもっとも印象に残ったのは以下の部分。「仕事一筋できたならば、夫は妻に逃げられてはいけない わたしが今まで見てきた経験上からも、妻は月15万円の生活費でも暮らしていける方が多いが、夫の場合はほとんど絶望的と言っていい。とくに団塊の世代よりも上の層の日常生活力の乏しさには驚くべきものがある。 …いまだに「家事は女性がする...

  • 下流老人 一億総老後崩壊の衝撃

    藤田 孝典朝日新聞社朝日新書p221悲惨な老後を送る貧困高齢者への支援活動を実際に行っている著者だけあって、実態を描いた第1章から第3章はリアリティと迫力がある。たしかに、老後の生活崩壊は、特殊な人に訪れる特別な事態ではなく、誰にでも起こりうる話である。他人ごとではない。われわれはそれを覚悟しておいた方が良い。著者は、「社会システムと社会福祉制度の機能不全」が、このような下流老人を生み出す原因であると...

  • 隠し剣秋風抄

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p384藤沢周平作品を読み始めたばかりの私が作品のことをあれこれいうのはまだ早いと思うのだが、これまで読んだだけでも、短編小説の名手であることはよくわかる。長編の方も、はじめから長編として書かれたものより、短編小説の連作として書かれたもののほうがずっと優れている。そして、この作者の短編小説の長さが、ちょうど良い長さなのである。通勤電車で、ちょうど一話だけ読めるの長さ。そして...

  • 隠し剣孤影抄

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p409著者の代表作のひとつである「隠し剣」シリーズ八作を収める。読みごたえのある短編が並ぶ。「剣客小説に新境地を開いた」と文庫本のカバーにあるが、たしかに著者の独壇場といった趣。...

  • 中野重治全集〈第五巻〉歌のわかれ 街あるき むらぎも

    中野重治全集第5巻筑摩書房p417美しい日本語を読みたいなと、ふと思って、そのときに思い出したのは、中野重治の文章である。(藤沢周平の作品を読んでそう思ったのではなく、その前の話。)それで、図書館から借りてきて、久々に読んでみた。「歌のわかれ」「街あるき」「むらぎも」の3作品は、いずれも著者の自伝的小説だという。そのうちの「むらぎも」は東京大学学生だった頃を描いた作品。作者らしい丁寧な描写が随所にみら...

  • たそがれ清兵衛

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p379傑作短編集。なかでも表題の「たそがれ清兵衛」は、名品。その他の7編も、印象深い。...

  • 闇の傀儡師(下)

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p361後半は興味を失って、なんとなく読んでしまったので、話の細かいところは覚えていない。ただ、主人公源次郎と津留の交流は心温まるいい話だった。読みどころは、それだけだったような気もする。p...

  • 闇の傀儡師(上)

    藤沢 周平文藝春秋社文春文庫p341伝奇小説的要素を加えた長編小説。謎の人物たちによる会話の章をはさみながら、伝奇的な要素を含む波乱万丈のストーリーが展開する大型時代小説。ただし、こういうふうな叙述の仕方は、作者の手に余るようで、ぎごちなさが感じられる。伝奇小説のような結構の大きな話も、柄にあわないようだ。...

  • 消えた女 他 ~彫師伊之助捕物覚え~

    藤沢 周平文芸春秋藤沢周平全集11p659「彫師伊之助捕物覚え」三部作となる「消えた女」「」漆黒の霧の中で」「ささやく河」。昨日と今日の2日でまとめて読んだ。昨日「凶刃」を読んでいるので、2日で4作を読んだことになる。藤沢周平の作品の読み方としては、非常にもったいない読み方をしてしまった。この作家の文章は、日本酒をチビチビと嘗めるように、もっとゆっくり読むべきである。...

  • 凶刃 ~用心棒日月抄~

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p44116年後の青木又八郎と、これまでの登場人物の姿が描かれている。かつての用心棒仲間だった浪人細谷源太夫や、口入れ屋の相模屋吉蔵など、本当にそうなるだろうなという姿に描かれている。細谷源太夫の妻の結末は意外だったが、しかし、そうなって全然おかしくはない。現実の社会というものはそういうものだろう。その一方で、エンディングの場面の、あの心憎い思いやり。厳しいような温かいような、...

  • 刺客 ~用心棒日月抄~

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p407相変わらず主人公青木又八郎は人を斬りまくる。この人には、人を殺したことに対する自責の念はないのだろうか。などど、あまり関係ないことを考えながら読んだ。あいかわらず面白い。...

  • 孤剣 ~用心棒日月抄~

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p462用心棒日月抄シリーズ第2弾。面白い。途中で止めるのが難しい。しかし主人公は、すこし人を斬りすぎではなかろうか。...

  • 用心棒日月抄

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p511藤沢周平の作品は、映画「たそがれ清兵衛」(2002年 出演:真田広之、宮沢りえ)、「隠し剣 鬼の爪」(2004年 出演:永瀬正敏、松たか子)、「武士の一分」(2006年 主演:木村拓哉、檀れい)で観たことがあったが、小説を読むのは初めて。時代小説を読むのは、隆慶一郎がほぼ初めてだった、読むべき本が山ほどありそうだ。...

  • 海を見ていたジョニー 他

    五木 寛之講談社五木寛之小説全集2p336表題作ほか、7つの短編を収録。「さらばモスクワ愚連隊」による鮮烈なデビューを飾った後の作品群。デビュー作発表と同じ昭和42年に、中間小説雑誌に発表されたもの。主人公として登場してくるのはテレビ関係者が多く、きっと当時は、気鋭の新進作家が描く、時代の最先端を舞台にした社会派の傑作短編小説、とでも紹介されたのだろうと思うが、全集第一巻の作品群が持っていた新鮮な叙情味...

  • かくれさと苦界行 他

    隆 慶一郎新潮社隆慶一郎全集7p462デビュー作「吉原御免状」の翌年に発表された続編。最後がちょっと急ぎすぎのような気がした。吉原を舞台にした短編「張りの吉原」も収録。...

  • 一夢庵風流記

    隆 慶一郎新潮社新潮文庫p664前田慶次郎の活躍を描く時代小説。「北斗の拳」で有名な原哲夫の「花の慶次」の元さうとしても有名。捨丸、骨、金悟洞といった、最初は主人公慶次郎の命を狙うものの、その魅力に負けて、いつのまにか付き従うことになるサブキャラクターたちが秀逸。...