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2014年01月のエントリー一覧

  • マルテの手記

    リルケ大山定一=訳新潮社新潮文庫p346こういう作品は、若く感受性が鋭敏なときでないとだめなのだろう。半年前に読んだ本だが、なにも印象に残ってない。30年前に読んだ時には、もっと心に残るものがあったはずなのに。たぶん20代、遅くとも30代までに読むべき本なのだろう。逆に、歳を取らないと味わえない本もあるから、それはそれでいいか。マルテの手記 (新潮文庫)(1953/06/12)リルケ商品詳細を見る...

  • 老人漂流社会――他人事ではない"老後の現実"

    NHKスペシャル取材班主婦と生活社p235予想以上に、高齢者の貧困と、終の棲家が失われる情況が進んでいることが浮き彫りにされる。実態を知って、かなり衝撃を受けた。2015年は、団塊の世代がすべて65歳以上になる年。10年後の2025年、かれらがすべて75歳以上となる。介護保険を受ける人の多くは75歳以上だから、このままでいくと事態は深刻になる一方だ。そのときまでに、なんらかの対策が打てているかどうか。世上喧しい「地域...

  • マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書

    大嶋 祥誉ソフトバンククリエイティブp229マッキンゼーといえば大前研一、なわけだが、それはともかく、最近はやりのマッキンゼーのビジネススキルについて、わかりやすく概括的述べてあって便利。お正月から読む本でもないですが。じつは昨年の春ごろに読んだ本。あ、でも明日から仕事だ…マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書(2013/04/27)大嶋 祥誉商品詳細を見る...

  • ハーバードとグーグルが教えてくれた人生を変える35のルール

    石角 友愛ソフトバンククリエイティブp217本棚を見たらこんな本があったので、奥付を見たら、去年の6月30日に読んだことになっていた(読んだ日をメモする習慣があるので)。なにも覚えていない。本を持っていることすら知らない。目次を見てもなにも浮かんでこない。パラパラめくってもおんなじ。で、ゴミ箱いき。(おいおい)著者には申し訳ない。「ハーバードとグーグルが教えてくれた人生を変える35のルール」が私に教えてく...

  • 里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く

    藻谷浩介・NHK広島取材班角川書店角川ONEテーマ21p308エピソード集ではつまらない。はっぱビジネスの「いろどり」が、それ一つでは革新的力を持たないように。こうした流れを加速するためには、なにかの仕組みや仕掛け、つまり政策が必要なはずだが、それはまだまだ期待薄だろう。今の社会の成り立ちに根本的なところで相反する要素を持っているので。そのうちどこかでブームになる可能性はあるが。里山資本主義 日本経済は「...

  • 営業の神様

    ジョー・ジラード満園 真木=訳p5151年間に車を425台も売ったこともあるアメリカのセールスチャンピオン、ジョー・ジラード氏。47歳で引退した後は、モチべーショナル・スピーカーとして、世界各国で企業講師を勤めている。そのジョー・ジラード氏によるセールスの極意の話。あいかわらず、ときどきこんな本を読んでみたくなる。なかなか面白いもんです。営業の神様(2013/04)ジョー ジラード、トニー ギブス 他商品詳細を見る...

  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ

    加藤 陽子朝日出版社p414当時の日本人や、各国首脳たちが、どういう思惑・戦略で、ついには第二次世界大戦に突入することになったのか。その時点その時点での状況にあわせた丁寧な説明がわかりやすくて、とてもおもしろい。高校生への特別講義をベースにした本書は、第二次世界大戦に至る国際・国内情勢を復習するための良書。ただ、タイトルにもなっているなぜ日本人が戦争を選んだのか、2度読んだが、よくわからなかったという...

  • 葉山嘉樹日記

    葉山嘉樹筑摩書房612p今年の年始年末の休みは、去年3月にパソコンが壊れたときに書いた葉山嘉樹集の感想文のアップに費やしました。結構な量になりました。誰も読まないと思うけれども。葉山嘉樹集の感想文を書いた後、この葉山嘉樹日記を読んで、感想文をいろいろ修正しようと思ったけれども、時間がなくなり、それはやらずじまいです。ただ、この日記は非常に面白かった。作者は、この日記を小説のネタの記録用に書いていたよう...

  • 葉山嘉樹集-27 ⑱開拓団に於ける生活

    ⑱開拓団に於ける生活1943年(昭和18) 49歳 作者が満州建国勤労奉仕班の班長として満州を慰問のため訪問した時の報告記事と思われる。思想改造を了えた作者の文章なので、味もそっけも内容もない。無意味な文章。この2年後、葉山自身が開拓団員となるために娘とともに満州に渡る。われわれはそれをいったい何者と考えればいいのだろう。本人にとっては、それは関わりのない感傷に過ぎないのだろうが。...

  • 葉山嘉樹集-26 ⑰子を護る(3)

    この作品は二月、戦争が始まる前に書かれた。当然、開戦の熱気はないが、社会的情況はほぼ同様だったと考えていいだろう。この作品をどう読むべきか。前年、作者が家族とともに移り住んだ長野県山口村についての印象はこうである。私は今まで多くの町々、村々を経て来たが、この山口村のやうな、純日本犬に見るやうな、又名利を超越した果てた、高僧の心境にも似た村を見るのは最初だった。(p422)この村に生まれた子等が、生まれ...

  • 葉山嘉樹集-25 ⑰子を護る(2)

    ジョージ・オーウェルはイギリスの社会民主主義者で、一時共産党に属したこともあり、出版する作品はいつも政府の検閲を受けて修正を余儀なくされていた作家であるが、そのかれもドイツとの戦争がはじまるやいなや、英国の一員として戦うためにあちこち奔走し、結果、BBCでアジア向け宣伝番組制作スタッフとして働いている。かれは敵を倒すためには非暴力を唱えるのではなく、銃をとって戦うべきだと考える男で、実際スペインの...

  • 葉山嘉樹集-24 ⑰子を護る(1)

    ⑰子を護る1941年(昭和16) 47歳 太平洋戦争がはじまった年である。真珠湾攻撃は12月3日であるが、12月9日に作者は大政翼賛会文部長の岸田国士に、「祖国の難に赴きたし。軍艦か御用船などに任務を与へられたし。返事待つ。」と電報を打っており、これをもって侵略戦争への加担の意思表明ととる人がいるかもしれないが、それはちょっと違うのではないかと思う。母国が戦争となれば、それまでの敵対関係をひとまず中断して、一致...

  • 葉山嘉樹集-23 ⑯還元記

    ⑯還元記1939年(昭和14) 45歳 貧しい中での鮎釣りの話。風流の世界。ほとんど仙人の世界に近くなっている。 とすると昔の中国の仙人の話も、背景には深刻な貧困の世界が広がっていたことに思い及ばないといけないのかもしれない。...

  • 葉山嘉樹集-22 ⑮流旅の人々

    ⑮流旅の人々1939年(昭和14) 45歳 ヨーロッパで第二次世界大戦が始まった年である。この作品に関する感想文はこちらに書いた。  流旅の人々 1/2 流旅の人々 2/2 主人公――作者――が飯場から東京の家族に送った一俵の米俵のエピソードが、家族の貧窮度を物語っている。そこも依然として、荒涼たる住居であった。出発した時と違ってゐるのは、台所に白米が一俵転がってゐる事だった。花田の送った白米だった。子供達は口々に...

  • 葉山嘉樹集-21 ⑭万福追想

    ⑭万福追想1938年(昭和13) 44歳 戦前の飯場を描くからには、そこには朝鮮半島からの労働者もたくさんいて、作品の中にも登場する。1910年の日韓併合以来日本の支配下にあったから、世間では一段下に見られていたことには間違いないが、かれの作品にはそういう表現は存在しない。逆に、よりポジティブな人物像として描かれているのは、作者の意図があってのことと思う。私は「朝鮮人」と云ふ言葉を使わないやうにしてゐた。無論...

  • 葉山嘉樹集-20 ⑬一寸待て

    ⑬一寸待て 1937年(昭和12) 43歳 同年の作。一家心中を試みようとした顛末をコミカルに描いた話と、林房雄と魯迅が登場する夢の話。林房雄についてはよく知らないが、政治的立場を左翼から変更した評論家だったと思う。林房雄のなにかをあてこすっているらしいが、よくわからない。...

  • 葉山嘉樹集-19 ⑫氷雨

    ⑫氷雨1937年(昭和12) 43歳 同年の作。「氷雨」については、以前若干触れたことがある。「氷雨」は作者の後期の代表作であり、心情小説の傑作である。釣竿をかかえて夕暮れの道を帰っていく父親と二人の子供の情景は忘れがたい印象を残す。ここに至ってもなお文章を書かざるをえない作者の作家としての業のようなものを感じる。...

  • 葉山嘉樹集-18 ⑪釣三昧

    ⑪釣三昧1937年(昭和12) 43歳 日中戦争が始まった年。反戦を訴える左翼グループが一斉検挙されるに至っては(人民戦線事件)、もはや釣りの話でも書いて糊口をしのぐしかない。生活はますます窮迫してきたようだが、この作品は妙に明るい。何も考えないようにしようという努力がうかがえる言葉がさりげなく書きこまれている。...

  • 葉山嘉樹集-17 ⑩文学的自伝

    文学的自伝 ―山中独語―1936年(昭和11) 42歳 葉山嘉樹は若いころから非常にモテる男だったようである。この本の巻末にあるあまり正確ではない年譜を見るかぎりでも、二三歳で結婚・離婚、その後二人の女性に四人の子供を産ませ(子供はいずれも死去)、三二歳で駆け落ちして三人の子をもうけている。少年時代から早熟で女性にだらしなかったと自伝にも書いているが、年をとっても女癖の悪さはあいかわらずで、作家の平林たい子...

  • 葉山嘉樹集-16 ⑨濁流

    ⑨濁流1936年(昭和11) 42歳 ④「海に生くる人々」や⑥「海底に眠るマドロスの夢」は階級闘争の物語であったが、同時に、海と闘う男たちの物語でもあった。⑧「山谿に生くる人々」⑨「濁流」は山崩れや川の氾濫を描くが、そこに出てくる男たちは、闘いを挑むというより、自然の災害に翻弄される人々であることは、この本の解説者である小田切秀夫のいうとおりである。(P493)作家が意図してそう書いたとは思えないが、時代の奔流に...

  • 葉山嘉樹集-15 ⑧山谿に生くる人々

    ⑧山谿に生くる人々 ―生きる為に―1934年(昭和9) 40歳 ⑦「今日様」の翌年の作品。作風は前作と同じだが、印象的なのは次の一節。 考へたり、思ったり、感じたりすることが、そもそも不必要な事なんだ。見ろ、ここは日本中で、一番昆虫の多い処だ、と云はれてゐる。昆虫は考へたり、思索したりはしない。だが、感じはするだらうなあ。ぢゃあよし、お前も感じっぱなしにしろ! 「痛いな」「あゝ草疲れた」「あゝ飲みたい」「...

  • 葉山嘉樹集-14 ⑦今日様(3)

    長々と引用したが、それは、中段の「そして俺は」以下だけでは、まるで中学生か高校生の感想文みたいで、あまりにも素朴すぎて唖然とするので、そうではなく、やはり文学史に残る一流の作家らしくいろいろ深く考えて書いている中の一部分だということを示したかったからなのだが、だが、やっぱり素朴すぎるというしかない。素朴というか、単純というか。四十にもなろうという作家が、左翼文学の代表選手であった作家が、いまさらそ...

  • 葉山嘉樹集-13 ⑦今日様(2)

    山村の初夏、五・一五事件の号外は、この山村にも、その翌日は報道された。山田は、その号外の内容と、農村の家庭争議との中間に挟ってゐた。――「俺は人類の理想と云ふことを考へてゐる。人間が必然的に踏んで行かねばならない、社会の歴史と云ふものを考へてゐる。人間が正しい方向に進む為には、俺の一身を犠牲にしても、厭はない、という決心を持ってゐる。だが、同時に、俺は、俺自身や俺の家族の事を、最も、身近に感じ、その...

  • 葉山嘉樹集-12 ⑦今日様(1)

    ⑦今日様1933年(昭和8) 39歳 ⑥「海底に眠るマドロスの夢」から五年後の作品。この間、世上では多くの出来事が起こっている。もはや声高に「労働者」「権利」「待遇改善」を叫んだりすることはもちろん、「自由」という言葉を口にすることすらはばかられる時代になっていた。作風は明らかに変わっている。舞台は海から山村になった。海上労働者の苦闘を描くのではなく、農村や飯場で働く人々の暮らしを描くようになった。左翼的...

  • 葉山嘉樹集-11 ⑥海底に眠るマドロスの夢

    ⑥海底に眠るマドロスの夢1928年(昭和3) 34歳 いくつかの魅力あるエピソードが語られる。それらがうまくつながっているとはいいがたいが、密度の高い作品となっており、前期の総決算というべき中編ではなかろうか。最後の難破の場面は、素晴らしい。嵐の海の描写で、これほど印象深いものは、これまで読んだ中でも少ない。...

  • 葉山嘉樹集-10 ⑤労働者の居ない船

    ⑤労働者の居ない船1926年(大正15) 32歳 多くの作家の処女長編と同様に、「海に生くる人々」は異様に力のこもった作品だが、それに較べると、肩の力が抜けた感じの中編。作家としての技量が上がり、手慣れてきた感じ。...

  • 葉山嘉樹集-9 ④海に生くる人々

    ④海に生くる人々1926年(大正15) 32歳 これはこちらのエントリ参照。 海に生くる人々(1/2) 海に生くる人々(2/2)...

  • 葉山嘉樹集-8 ③セメント樽の中の手紙 

    ③セメント樽の中の手紙1926年(大正15) 32歳 これはですね、いい話といってはなんですが、読んでおもしろいです。「労働者の悲惨な境遇を描いた描いた作品」だなんて解説がいかにも似合いそうで、たぶんそんな表面的な評価も実際あるんでしょうが、どうみても違いますね。作者は楽しんで書いてますね。最後の方の「恋人の着ていた福の切れ端をプレゼントします」なんて、悪趣味もいいところですが、わかってやってますよね。 労...

  • 葉山嘉樹集-7 ②淫売婦

    ②淫売婦1929年(大正14) 31歳 デビュー作。この作品が当時のプロレタリア文学界に衝撃を与えたのは分かる気がする。モダンだからだ。これも想像だが、当時のプロレタリア文学は、残酷な労働と陰鬱な生活を描いた暗く重たく深刻なものばかりで、行き場のない憤怒とともに打倒資本家階級! プロレタリア革命万歳! と絶叫して終わるという、こういってはなんだが、ひどくダサく泥臭いものばかりではなかったか。そこに外国航路...

  • 葉山嘉樹集-6 ①工場の窓より

    ①工場の窓より1929年(大正10) 27歳 推測だが、作品として発表されたものではなく、名古屋のセメント工場で働いていた時に書かれたアジテーション文のようである。...