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カテゴリ:- Somerset Maughamのエントリー一覧

  • モーム71:芸術の意義

    (大意)もし芸術というものが道楽以上のものであって、ひとりよがりの場ではないとするならば、それは人格の形成を促し、正しい行動ができるように人を育てるものでなくてはならない。こんな真面目な結論は、わたしはちっとも好きではないのだが、この点は認めざるを得ないと思う。芸術の意義は、その成果で測られるべきであって、そういうものがない場合は、その芸術は無価値である。ところで、不思議な事実があって、わたしには...

  • モーム70:一部の集団のための芸術は、たんなる遊び道具にすぎない。

    (大意)もし美が人生における最大の価値の一つであるとするならば、美の鑑賞能力が、特定の階級だけに属する特権であると考えることは難しい。選ばれた者だけが持つ感覚が、人間が生きていくうえで必要であるという理屈を押し通すのは無理がある。しかし美学者たちが主張しているのはそういうことである。正直言って、わたしも若いころは愚かにも、芸術とは……人間の営為の頂点であり、人間の存在意義であり、選ばれた少数によって...

  • モーム69:芸術の価値

    (大意)芸術の価値は、信仰と同じく、その効果にある。たんに楽しいだけなら、どんなに精神的な楽しさであっても、さして重要とはいえない。その価値はいいところカキ12個とモンラッシェ(ブルゴーニュ産白ワインの銘柄)1杯程度である。苦痛や悲しみを和らげてくれるのであれば、結構なことである。世界は逃れようのない悪に満ちており、人はときおり避難所に身を隠す必要がある。しかし悪から逃げるためではなく、悪と直面する...

  • モーム68:なにかを達成するためには、自分のなにかを制限することを学ばなければならない。(ゲーテの言葉)

    (大意)なにかを達成するためには、自分のなにかを制限することを学ばなければならないとゲーテはいっていなかっただろうか? (サミングアップ 第73章)But did he not say that he who would accomplish anything must learn to limit himself?(The Summing Up, ch.73, p.287)...

  • モーム67:老年時代にはもっと時間がある

    (大意)矛盾して聞こえるかもしれないが、老年時代にはこれまで以上に時間がある。わたし若いころ、大カトーが80歳になってギリシャ語を習いはじめたとプルタークが英雄伝で書いているのを読んで、不思議に思ったが、いまならそうは思わない。老年時代は、若者ならばそれに要する膨大な時間を考えて尻込みするようなことでも、取り組むことができるものなのである。(サミングアップ 第73章)Paradoxical as it may sound it has...

  • モーム66:老年時代

    (大意)完全な人生、その完全なパターンには、若い時代や成熟の時代とともに老年時代が必要である。朝の美しさ、日中の輝かしさは素晴らしいものである。だからといって、静かな夕方を追い出そうとカーテンを閉めて照明を煌々とつけるのは、愚かな人間のやることである。老年時代にはそれ自身の喜びがある。若者時代の喜びとはちがうが、それに劣るものではない。(サミングアップ 第73章)For the complete life, the perfect p...

  • モーム65:1920年代

    (大意)わたしが青年時代を過ごした1920年代は、中壮年のための世界だった。若さからはできるだけ早く抜け出し、成熟すべきだと考えられていた。(サミングアップ 第73章)The world of my twenties was a middle-aged world, and youth was something to be got through as quickly as possible so that maturity might be reached.(The Summing Up, ch.73, p.282)...

  • モーム64:悪の存在とスピノザの言葉

    (大意)悪の存在については、説明することができない。宇宙の秩序を構成する要素の一つとみるしかない。無視するのは子供じみているが、嘆き悲しんでも意味がない。スピノザは、同情はめめしい行為だといった。この警句は優しく質実な精神を持つこの哲学者の言葉にしては、粗雑すぎるように思える。変えることができないことがらに強い思い入れをしても、感情の浪費にしかならないと言いたかったのではなかろうか。(サミングアップ...

  • モーム63:ペシミズムと想像力

    (大意)過剰なペシミズムは、以下のようにして産み出される。すなわち、自分がその場にいたら感じるにちがいない感情を、他の人々も同じように感じるはずだと考えることによって。それは小説がもたらす弊害のひとつである。小説家は自分自身の世界から一般的な世界を作り出す。キャラクターに感受性、考える力、感情を与える。もちろんそれは彼独自のものである。多くの人々は想像力というものをほとんど持たないし、創作上の人物...

  • モーム62:芸術家のエゴイズム

    (大意)芸術家のエゴイズムには際限がない。また、そうあるべきである。仕事の性格上、かれは唯我論者である。世界はかれが創造の力をふるうためだけに存在する。かれは一部分しか生活にかかわっていない。人々が普通感じるであろう感情をまるごと感じることは決してない。というのも、そうあるのが当然の場面であっても、登場人物であるとともに観察者であるからである。だから、しばしば非情にうつる。女性は鋭敏な感覚によって、...

  • モーム61:批評家と伝統

    (大意)批評家は伝統を基盤としなければならない。なぜならば伝統とは、その国の文学の特徴を表現したものであるからである。その発展の方向にそってそれをさらに進化させるために全力を尽くさなければならない。ただし伝統は導き役であって拘束服ではない。He must support himself on tradition, for tradition is the expression of the inevitable idiosyncrasies of a nation’s literature, but he must do everything he can ...

  • モーム60:評価

    (大意)わたしは20代では批評家に残酷だと言われ、30代では軽佻浮薄と言われ、40代では冷笑的と言われ、50代では有能と言われ、60代に入ったいまは皮相的と言われている。(サミングアップ 第60章)In my twenties the critics said I was brutal, in my thirties they said I was flippant, in my forties they said I was cynical, in my fifties they said I was competent, and now in my sixties they say I am super...

  • モーム59:プロットの効用

    (大意)多くの人が気がついていないもののひとつに物語の筋(プロット)の効用がある。プロットは読者の関心を引っ張っていく糸である。フィクションでもっとも重要なものである。というのは読者をページからページへと運んでいくのは、関心の導線によってであり、意図する心的状態に読者を導くのもこの導線によってであるからである。作者はいつもいかさまのサイコロを振っているのだが、読者にそれを気づかせてはならない。筋立...

  • モーム58:観光

    わたしはあまり観光をしたことがない。(サミングアップ 第55章)I have never been much of a sight-seer.(The Summing Up, ch.55, p.200)...

  • モーム57:旅行先で

    わたしは場所や人々の詳細や、そこから思い浮かぶストーリーをノートに何冊も書き込んだ。(サミングアップ 第55章)I filled note-books with descriptions of places and persons and the stories they suggested.(The Summing Up, ch.55, p.199)...

  • モーム56:作家と一般人

    (大意)困難、絶望、そしておそらくは貧窮、作家という職業に伴う不利益や危険は、大きな利点によって相殺される。すべてを取るに足らないものにする。その利点とは精神の自由である。作家にとって人生とは悲劇であり、その創造の才によって、アリストテレスが芸術の目的としたカタルシス――恐れと憐みによる精神の浄化――を獲得する。罪、愚行、降りかかる不幸、報われない愛、肉体的な欠損、病気、窮乏、失われた希望、悲嘆、屈辱...

  • モーム55:作家の慰め

    (大意)芸術家は創作という行為そのものによってすでに報われている、ともかくそう考えることで、出版社の広告を眺める際の慰めにはなる。出版物の長いリストを見たり、評論家がそれらの作品の機知や深遠さや独創性や美を称賛しているのを読むとき、心が沈む。こんなに大勢もの天才たちと競っていけるのだろうか。小説の平均寿命は90日だと出版社が告げる。数か月の心労と自身のすべてを注ぎこんだ作品が、たった2時間か3時間で読ま...

  • モーム54:芸術の評価は芸術家とは関係ない。

    (大意)できあがった作品は、良いか悪いかのいずれかである。それを決めるのは他の人々であって彼ではない。人々は提供された交流の芸術的な質に基づいて判断する。それが現実世界からの逃避に役立つものであれば、歓迎はされるだろうが、うまくいっても二流の芸術としての評価である。人々の心を豊かにし、個性の伸長に寄与するものであれば、当然のことながら一流の芸術と呼ばれる。しかしここでわたしは主張したいのだが、このよ...

  • モーム53:創作とは、それ自体によって満足させられるべき特殊な活動である。

    創作とは、それ自体によって満足させられるべき特殊な活動である。(サミングアップ 第49章)Artistic creation is a specific activity that is satisfied by its own exercise. (The Summing Up, ch.49, p.183)...

  • モーム52:交流

    (大意)作品を産み出すことで作者は自分自身を満たす。ただしそのことは、作者以外には何の意味も持たない。かれが書いた本を読む人々、かれが描いた絵画を鑑賞する人々にとって、かれがどう感じているかは関係がない。芸術家は魂の解放を求めるが、人々は交流を求める。その交流が価値あるものかどうかは、当人しか判断できない。一方、芸術家にとっては、その作品がもたらす交流は二次的なものでしかない。(サミングアップ 第...

  • モーム51:水が丘を下るように、創作は芸術家の本性である。

    水が丘を下るように、創作は芸術家の本性である。(サミングアップ 第49章)It is his nature to create as it is the nature of water to run down hill. (The Summing Up, ch.49, p.182)...

  • モーム50:芸術家はその魂の解放のために創作する。

    芸術家はその魂の解放のために創作する。(サミングアップ 第49章)The artist produces for the liberation of his soul. (The Summing Up, ch.49, p.182)...

  • モーム49:作家の不安

    (大意)自負心や傷つきやすい虚栄心はともかくとして、作家は、自分の意図した姿と実際の作品を較べるとき、不安を感じずにはいられない。最善を尽くしたとはいえ自分のイメージとの差があまりにも大きいので、結果は当座しのぎ以上のものにはならない。ここあそこのページは気に入るかもしれない。あるエピソード、あるキャラクターはうまくできたと思うかもしれない。だが、完全に満足できる作品は、かれのキャリアの中でもほと...

  • モーム48:書く習慣と良く書くということ

    (大意)作家は書く習慣を持たなけれ良く書けないし、大量に書くこともできない(また大量に書かないかぎり良く書けるようにはならない)。だが毎日のこの習慣は、精神のフレッシュさが失なわれた時点でその日は終わりとすべきである。(サミングアップ 第48章)You cannot write well or much (and I venture the opinion that you cannot write well unless you write much) unless you form a habit; but habits in writing as...

  • モーム47:書く目的

    (大意)芸術家の作品はすべて、かれの精神の遍歴の表現であるべきだ。とはいえこれは実現不可能な理想なので、この不完全な世界ではプロの作家にもある程度の猶予は与えられるだろうが、この理想はいつも念頭に置いておくべきである。かれは長いあいだ考え続けてきたせいで重荷になっているテーマから自身を解き放つためだけに書くのである。自分のこころの平安ことだけを考えて書くのが賢明である。(サミングアップ 第48章)Ev...

  • モーム46:書く習慣

    (大意)書きたいと感じたときに書くだけでは、プロの作家たりえないのは明らかである。その気になるのを待っていたり、インスピレーションが沸くのを待っていたりでは、いつになるのかわからない。結局のところ、ほとんどなにも産み出さないか、まったく産み出さないで終わる。プロの作家は「その気」を作り出す。インスピレーションをコントロールし、従わせる。そのためには毎日定期的に一定の時間を充てなければならない。そうす...

  • モーム45:一国の文学とプロの作家

    (大意)一国の文学は、優れた少数の作品によって築かれるのではなく、前述のように、プロの作家たちだけが産みだす巨大な作品の全量によって築かれる。生活上の多くの困難に見舞われながらも、書くことを職業として選んだ作家たちがいる国に比べると、主にアマチュアによって生み出される国の文学は、どうしても貧弱である。ある作家の作品の全量は、長期にわたる継続的で毅然とした努力の結果である。作家は、他の職業の人々と同...

  • モーム44:書くことはフルタイムの仕事である。

    (大意)書くことはフルタイムの仕事である。それが生活の主な目的でなければならない。すなわち、プロの作家でなければならない。稼がなくてもよいだけの財産がある人は幸運であるが、それがなしでもプロの作家にはなることはできる。スイフトは司祭として、ワーズワースは閑職を得て、バルザックやディケンズ同様にプロの作家として活躍したのである。(サミング・アップ 第47章)Writing is a whole time job. To write must b...

  • モーム43:作家が書くとき

    (大意)作家が書いているのは、机に向かっている時だけではない。考えているときも、読書しているときも、経験しているときも、一日中書いている。見たり感じたりするすべてが、書こうとする内容にとって重要であり、意識的無意識的に、印象を蓄積したり組み立て直したりしている。その関心の一部を割いて別の職業に振り分けるわけるというわけにはいかない。自身や雇用主に都合の良いようにはできないのである。(サミング・アッ...

  • モーム42:山道

    (大意)山中の道を辿る日々、ある時、こんな感覚がやってくる――前方の大きな岩を曲がると、やっと平地に出られる!しかし目にするのは別の岩山で、坂道はまだまだ続く。そしてこんどこそ。いや、ちがった。路は曲がりくねり、別の山が目の前に立ちふさがる。突然、目の前が開ける。やっと着いた。平地が陽を浴びて広々と展開している。肩にのしかかっていた山々の圧迫がなくなり、喜びとともに深呼吸する。自由だ。最後の劇を終え...

  • モーム41:女で身を滅ぼす

    (大意)フランスでは、女で身を滅ぼした男には同情と賞賛が与えられるのが一般的である。そういうことは価値あることであるという感覚がある。当人はプライドすら感じている。イギリスでは、まったくの馬鹿者と思われるし、本人もそう考える。シェイクスピアの偉大な劇の中で「アントニーとクレオパトラ」がいちばん不人気なのもそのせいである。観客は女のために帝国を投げ出すとは、なんて見下げはてた奴なんだと思うのである。...

  • モーム40:作劇の秘訣

    (大意)作劇の秘訣はふたつの格言にまとめることができる。脱線するな、できるだけカットしろ、である。最初の格言は論理的な頭を要求する。われわれの大多数はそれを持っていない。あるアイディアは次のアイディアを生み、話の筋に直接関係なくても、それを追っていくのは楽しいものだ。脇道に反れがちなのは人間の性である。だが劇作家は、聖者が罪を恐れるよりも徹底して脱線を恐れなければならない。なぜならば罪を犯しても神...

  • モーム39:俳優

    (大意)よく知っている俳優が何人かいる。かれらとのつきあいは面白い。ものまねの才能、会話の芸、すばやい機転で、しばしば一緒の時間を非常に楽しいものにしてくれる。寛大で、親切で、度胸がある。しかしわたしはこれまでかれらが人間であると思ったことは一度もない。幾分かでも親しくなれたこともない。かれらはヒントに対する答えを持たないクロスワードパズルのようだ。思うに、俳優の性格というのは、かれが演じる役柄か...

  • モーム38:外国語の習得について

    (大意)わたしは多言語を話す人には何人もあったことがあるけれども、かれらがわれわれより賢いと思ったことはついぞなかった。外国旅行をするとき、道を聞いたり、おいしい食べ物を食べたりするのに必要なコトバを知っていれば、それは便利だろう。その国に偉大な文学作品があれば、原文で読めればさぞかし楽しいだろう。そんな知識は容易に手に入れることができる。しかしそれ以上企てることはムダである。その言語に一生を捧げ...

  • モーム37:魅力的な探検

    (大意)作家は補給しなければ痩せ細っていくばかりである。新たな体験により常にその魂を豊かにしなければならない。有益な資源として、過去の偉大な文学への魅力的な探検以上のものはない。(サミング・アップ 第27章)The writer can only be fertile if he renews himself, and he can only renew himself if his soul is constantly enriched by fresh experience. There is no more fruitful source of this than the encha...

  • モーム36:傑作が現れるためには

    (大意)(一国の文学を豊かにするためには)二つ三つの作品ではなく、大量の作品を産み出すことのできる作家を持たなければならない。もちろん出来不出来はあるだろう。なぜなら一つの傑作を生むためには、非常に多くの好条件が整うことが必要だからだ。そして傑作とは、訓練されていない天才による偶然からではなく、労苦に満ちた実績の積み重ねの最高点として出現するものなのである。(サミング・アップ 第27章)For that you...

  • モーム35:再読について

    (大意)わたしはたくさん本を読むけれども、悪い読み手である。わたしは読むのが遅い。めったに飛ばし読みしない。どれだけひどく、どれだけ退屈な本であろうと、読み通さずにはいられない。最後まで読まなかった本は十指に満たない。一方、二回読んだ本はほとんどない。一回読んだだけではその価値を十分理解できない本がたくさんあることはよくわかっているけれども、そのときわたしが得ることができるものを与えてくれたのであり...

  • モーム34:ブラウン氏の40年

    ブラウン氏とは、モームがつけた仮名。「人間の絆」のヘイウォードのモデル。(大意)かれは、20年間、本気になったときに書く作品のことを考えて楽しんでいた。そのあとの20年間は、もうすこし運に恵まれていたら書くことができたにちがいない作品のことを考えて楽しんでいた。(サミング・アップ 第24章)For twenty years he amused himself with thinking what he would write when he really got down to it, and for another ...

  • モーム33:偉大な作家の作品の質

    (大意)親密さ、包容力ある人間味、肉体感を伴った静寂さ、これらはもっとも偉大な作家だけが与えることができる。(サミング・アップ 第22章)The intimacy, the broad human touch and the animal serenity which the greatest writers alone can give.(The Summing Up, ch.22, p.77)...

  • モーム32:若さと創造性

    (大意)かれらが示していたのは、若さが持つ創造性なのである。文章や詩を書いたり、ピアノでちょっとしたメロディーを奏でたり、絵を書いたりイラストを描いたりというのは、非常に多くの若者が本能的にやっていることなのである。それは遊びの一種であり、若さの充溢であり、砂の上に子供が城を築くのとなんらかわりはない。……わたしがここで言いたいのは、この能力は、全員に共通とはいえないまでも、とても一般的なので、それ...

  • モーム31:警戒すべきこと

    (大意)ペンはそれ自身で思想をつくり出す。著者がつねに警戒していなければならない危険がここにはあって、具合の悪いことに、書かれた文章にはある種の魔法があるのである。考えが目に見える実体を獲得したとき、その文章が独自に語りはじめてしまうのだ。(サミング・アップ 第11章)The pen originates the thought. The disadvantage of this, and indeed it is a danger against which the author must be always on his g...

  • モーム30:文章の明快さ

    (大意)わたしは、文章の意味を理解するのに読者の努力を要求するような物書きに我慢がならない。偉大な哲学者たちを見るがよい。きわめて精妙な思索であっても、明快に表現することが可能なのである。(サミング・アップ 第11章)I have never had much patience with the writers who claim from the reader an effort to understand their meaning. You have only to go to the great philosophers to see that it is possibl...

  • モーム29:良い文章を書くためには

    (大意)良い文章は、努力の跡を残さないものである。幸せな偶然によって書かれたかのように見えるのがよい。わたしはいまフランスでコレットほど称賛すべき作家はいないと思うのだが、彼女の表現の平明さをみると、書くのに苦労しているとはとうてい思えない。天性のテクニックを持つピアニストがいると聞いたことがあるが、かれらは最高の名演奏家たちが非常な訓練ののちに獲得できるのと同等の技術で演奏できるという。わたしは...

  • モーム28:文章とハゲ

    モームは文章に必要な3つの要素として、「明快」「簡潔さ」「快い響き」を挙げている。(大意)はっきり書くことがなによりも重要である。明快さについては議論の余地はないが、簡素さに対しては、平板になるというリスクがある。しかしフサフサしたカツラをかぶるよりもハゲのままの方がどれだけよいかを考えれば、これは十分とるべきリスクである。(サミング・アップ 第13章)Anything is better than not to write clearly. T...

  • モーム27:文章の改善

    (大意)わたしはこれ以上改善の余地はないという地点まで達したページを数えるほどしか書いたことはなく、はるかに多くを不満足なまま放置してきた。というのは、試みたとしても、それ以上のものにする手立てを持たないからである。わたしはジョンソン博士がポープについて語った「かれは無関心から誤りを修正せずに放置したり、絶望してやめたりするようなことは一度たりとてなかった」という言葉を自分にあてはめることは到底で...

  • モーム26:英語の文法と散文

    (大意)英語の文法は非常に難しく、作品の中で誤りから逃れることがきた作家はほとんどいない。ヘンリー・ジェイムスのような非常に注意深い作家ですら、学校の教師が自分の生徒のエッセイの中で見つけようものなら髪をかきむしりそうな文法を無視した文章を時おり書いている。文法を知ることは必要であるし、文法的に正しく書くことはそうしないよりましではあるが、ただし、そもそも文法というのは一般的な話し言葉を定式化した...

  • モーム25:散文のための土壌

    (大意)ロココ時代がその優雅さと節度とともに最高度の洗練に達したとき、もっとも優れた散文が現れたのは偶然ではない。バロックがおおげさになりすぎ、世界がその途方もなさに疲れてはてて抑制を求めたとき、ロココが発展した。それは市民的な生活に重きを置く人の自然な表現である。ユーモアと寛容さと常識は、17世紀前半の偉大で悲劇的な事柄への傾倒を過剰なものとみなした。世界はより住みやすい場所であり、おそらくそれま...

  • モーム24:散文とは

    (大意)よい散文を書くことは、良き作法に関する事柄である。散文は、韻文とはちがって、市民的な芸術である。詩はバロックである。バロックは、悲劇的で、重厚で、神秘的である。それは根本的である。深さと洞察を要する。……散文はロココ芸術である。力よりも趣味を、ひらめきよりも秩序を、華麗さよりも活力を要求する。(サミング・アップ 第12章)To write good prose is an affair of good manners. It is, unlike verse, a...

  • モーム23:書くことは苦労しなければ習得できない繊細な技術である

    (大意)しかし書くことは私にとっては息をするのと同じくらい自然で本能的なことで、うまく書けているかどうかには常に注意を払っていた。数年たって書くことは苦労しなければ習得できない繊細な技術であることがわかってきた。書こうとするといつも困難を感じていたのである。会話ならば流れるように書くことができるが、地の文を書く段になると、非常に苦しんだ。二三行書くのに数時間を要し、どうやってもうまくいかなかった。わ...

  • モーム22:弁舌の才と考える力

    (大意)かつてわたしは政治家はその輝かしい地位をたんなる弁舌の才から得ているのだと思っていた。というのは民主国家で権力ある地位に登るためには、大衆の耳目を集めることなしには、ほとんど不可能だからである。そして弁舌の才というものは、ご承知のとおり、かならずしも考える力を伴っているわけではない。(サミング・アップ 第1章)At one time I was inclined to think that they owed their illustrious position onl...

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