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カテゴリ:Bookのエントリー一覧

  • 妻の部屋

    古山 高麗雄文藝春秋文春文庫p427サブタイトルは遺作12篇。最後の小中編を集めたもののようだ。「日本好戦詩集」でも書いたが、小説家としての衰弱がはなはだしい。代表作となった戦争三部作「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」の舞台となったビルマ(現ミャンマー)を訪ねた時の取材記録、「私のフーコン旅行記」はさすがに読ませる。...

  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

    ヨーゼフ・ロート池内 紀=訳岩波書店岩波文庫p408収録作品は以下の通り。 蜘蛛の巣 4月、ある愛の物語 ファルメライヤー駅長 皇帝の胸像 聖なる酔っぱらいの伝説ヒトラーのドイツ支配を予言した「蜘蛛の巣」は不気味。映画にもなっているらしい「聖なる酔っぱらいの伝説」もいいけれども、軽妙な「ファルメライヤー駅長」と「4月、ある愛の物語」が気に入りました。...

  • 夜 (新版)

    エリ・ヴィーゼル村上 光彦=訳みすず書房p.226著者は15歳のときに父、母、姉、妹とともに強制収容所に送られ、一家全員が虐殺される中、奇跡的に生き延びる。その体験を綴った自伝的作品。...

  • 本所しぐれ町物語

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p.377途中まで読んで、ひと月あまり中断してしまったので、せっかくの連作をふいにしてしまったのが残念。作品の素晴らしさ十分に味わえず、もったいないことをした。...

  • 泉 鏡花

    ちくま日本文学全集017筑摩書房P475読むのになかなか苦戦した。もっと余裕があるとき、暇を持て余していているとき、しばらく文章を読んでなくて、なんでもいいから読んでみたいとき、そういうときではないと、この作者の作品は入ってこないようだ。ようするに贅沢品なので、気持ちがガツガツしているときにはだめだということかな。解説が紀田順一郎なのが懐かしい。とっくに亡くなられたかとおもったら、まだご存命だったのです...

  • 日本好戦詩集

    古山 高麗雄新潮社p.245本書は、戦争を翼賛する詩を集めた詩集というわけではなく、私小説集。表題作では、戦争詩について触れているが、好戦的な詩を集めているわけではなく、やはり作者の日常を描くのが中心。しかしこういうものを小説といっていいものかどうか。日記の延長でしかないように思える。文章によって物語を創るのが作家だと思う。日々の徒然を語る随筆家だって、読ませて楽しませるだけの文章を書かなければ、その...

  • 江戸川 乱歩

    江戸川 乱歩筑摩書房ちくま日本文学全集019p.476ちくま日本文学全集を、一巻目からずっと読んでいるのだが、途中読んでいないものがあることに気がついた。その一つがこれ。江戸川乱歩は、中学生の頃にたくさん読んだ。今回読み直してみて、二つ気がついたことがあった。一つ目。文章がわりと荒い。流行作家ということもあって、そんなには文章の推敲に神経質になっていないようだ。二つ目。明智小五郎といえば、もちろん探偵もの...

  • 橋ものがたり

    藤沢 周平新潮社新潮文庫p.389橋をめぐって繰り広げられるさまざまな物語。なかでも冒頭の「約束」が強く印象に残る。二重三重の展開と美しいラストシーン。いいものを読みました。...

  • 霧の果て 神谷玄次郎捕物控

    藤沢 周平文藝春秋文春文庫p.345久々の藤沢周平。連作ものだが、それぞれの作にあまりひねりが感じられず、わりとあっさりと進み、あっさりと終わる。舞台の背景となっている過去の謎も、拡がらないまま、あっというまに終息。...

  • マレー蘭印紀行

    金子光晴1940中央公論社中公文庫p.184作者45歳の時の作品。その8年前、欧州から帰国の際に立ち寄ったマレー半島の風物。次第に戦争の色合いが濃くなる中、海外植民地で働き暮らす日本人、中国人、土地の人々の模様。70歳代半ばで書かれた東南アジア・欧州3部作に較べると、暗く重たい。...

  • Thinner

    Stephen King1984Hodder & StoughtonP341呪いをかけられてだんだんやせ細っていく人の話という裏表紙の紹介を読んで、なんだかおもしろくなさそうだなと思って読んでみたら、謎解き、家族の危機、追い詰められた主人公の意外な反撃、危険な美少女の登場といったハラハラドキドキのストーリーに、アメリカ肥満社会への文明批評まで絡めてグイグイひきこまれ、途中でやめることができなくなってわずか3日で読んでしまった。この小説...

  • Duma Key

    Stephen King2008Hodder & StoughtonP691691ページもあるので、なかなか大変かなと思ったが、いつのまにか半分、3分の2がすぎ、ひと月もたたないうちに読むことができた。辞書を引くのが面倒くさかったので、一度も引かないまま進んだ。それでも読めたのだが、やっぱり、引いたほうがよかったかもしれない。意味がわからない部分があると、そこを含めて全体のがぼんやりしてしまう。読んだときは面白かったけれども、もう印象が薄...

  • The Moon and Sixpence

    Somerset Maugham1919Vintage BooksP215サマセットモームといえば、代表作はやはり、Human Bondage(人間の絆)の4年後に発表された、本書The Moon and Sixpence(月と6ペンス)ということになるらしい。高校生の頃、図書館に新潮社世界文学全集があって、その31巻がモームⅡ。それを借りて、「ラムベスのライザ」「月と六ペンス」「お菓子と麦酒」「劇場」を読んだが、あまり面白くなかったということは覚えている。わざわざそんな...

  • ライフシフト ~人生100年時代の人生戦略~

    リンダ・グラットン/アドリュー・スコット2016池村千秋:訳東洋経済新報社p.414「ライフシフト~人生100年時代の人生戦略~」というタイトルとサブタイトルはまったくそのとおりで、こういう本がついにベストセラーになったということ自体が、超高齢社会の進展を物語る。10年前に、本書の内容を書いても言っても、ほとんどの人は耳を傾けなかったのではないだろうか。ただ、同じような内容は、断片的には、高齢者に関する専門...

  • 西ひがし

    金子 光晴1974中央公論社中公文庫p274三部作の最終巻。妻美千代の不倫をきっかけにしたヨーロッパ行きではあるのだが、金子光晴はそうはいっても妻に縛られるつもりは毛頭ないようで、あちこちの街でよろよろしていて、商売女には手を出さなかったとどこかで書いているのだが、信用はまったくならない。妻に対しても男の手前勝手な倫理観を押し付けいるわけではぜんぜんなくて、むしろ逆のようですらあったらしい。そういうふたり...

  • ねむれ巴里

    金子 光晴1973中央公論社中公文庫p354若い学生と駆け落ちした妻森三千代の気持ちを相手から引き離すべく、幼い子供を長崎の実家にあずけ、パリを目指す作者と妻。「どくろ杯」では、関東大震災後の二人の出会いから上海、東南アジアでの道行と、妻が先にパリに向かうまでが描かれる。本書はその続編。作者もようやくパリにたどり着き、ふたりの暮らしが再びはじまる。時代は1930年。第二次世界大戦前の花の都パリである。無一文の...

  • Night Shift

    Stephen King1978Hodder & StoughtonP488本書のlexile指数は770L。Lexile指数というのは、アメリカのMetaMetrics®社が開発した「読解力」および「文章の難易度」を示す指標で、単語数や難易度、構文の複雑さなどを基づいて、その本の指数が示され、読者のレベルに適した本の選択を助けるもの。アメリカの学校で広く用いられているらしい。最低が200Lで最高は1700L。アメリカの学年別スコアは以下の通り。1年生 (-300L)2年生 (14...

  • The Summing Up

    W. Somerset Maugham1938Vintage Booksp305サマセット・モームの「サミングアップ」。昔は「要約すると」というタイトルで出ていたので、そちらのほうがなじみが深い。といって中身を知っていたわけではなく、読むのは今回が初めてである。昔は大学受験で、この本の英文が良く出ると言われていて、それでタイトルを知っていたわけであるが、たしかに、そんなに凝った英文ではないものの、しかし、そんなに易しくもない。私の場合は...

  • どくろ杯

    金子 光晴中央公論社中公文庫p297関東大震災からはじまる、妻森三千代との5年に及ぶ東南アジアとヨーロッパ放浪の記録。ひさびさに読んでみたが、圧巻の迫力は変わらず。...

  • Of Human Bondage

    Somerset Maugham1915Modern LibraryP650サマセット・モーム最大の長編にして代表的傑作のひとつ。第一次大戦勃発の翌年、1915年に発表された。このときモーム41歳。「人間の絆」は、モームの自伝的作品と言われている。自伝的作品といえば地味で暗い作品というイメージがあるので、あまり食指が動かなかったのだが、予想に反して、めちゃくちゃ面白かった。モームは、作家は多かれ少なかれ自分の経験をもとに作品をつくるものだ...

  • 定年後 50歳からの生き方、終わり方

    楠木 新中央公論社中公新書p221けっこう売れているようでびっくりしました。定年後のサラリーマンがどこでどんなことをしているか、そのレポートが興味深い。こういう具体的な姿をまとめたものは、いままであまりなかった。55歳になったら、ときおりパラパラめくってみるとよい本。60歳でも遅すぎることはない。p70の図、会社以外の友人や知人と時間を過ごすことがない人の割合が、日本の男性場合は異常に高いという事実が、定年...

  • 生涯現役論

    佐山展生・山本 昌新潮社新潮新書p72050歳まで現役の投手を続けた山本昌投手。ただすごいの一言。社会人としては、サラリーマン経験のある経営者・大学教授の佐山展夫氏の話のほうが身近に感じられるかもしれない。...

  • 難民鎖国ニッポンのゆくえ 

    根本かおるポプラ社ポプラ新書p300日本の少子高齢社会のことを考えるとき、外国人労働者の問題は避けて通れない。われわれがどういう未来を選択するかを考える際の重要な要素となる。結論から言えば、受け入れるしか選択の余地はないので、あとはどうやってソフトランディングさせるかの段階に入っていると思う。時代が変われば、社会や文化も変わる。同じような文化や生活様式をいつまでも続けることはできない。鎖国政策を取り続...

  • The Gunslinger

    Stephen King1982The Dark Tower Ⅰ Hodder & Stoughtonp266スティーブン・キング3連発。Lexile指数は750L。ダークタワー・シリーズのⅠだが、これは失敗。ちっとも面白くない。Lexile指数がどうこういうまえに、モヤモヤ何かを暗示する話ばかりで、ちっとも中身が分らない。読んでいてつらいものがある。このシリーズ、あと6冊もあるのか。面白くなるのだろうか。次を読むべきか否か。どうしようかな。...

  • The Running Man

    Stephen King1983Hodder & Stoughtonp241これもリチャード・ブキャマン名義の一冊。Lexile指数は700L。The Long Walk より、少し難しいということになっている。いや、少しどころか、けっこう難しい。主人公の活躍する舞台が大きく拡がった分だけ、使われている単語の範疇(レンジ)もかなり広くなっているし。駆け引きの裏の意味を読み取りながら、目まぐるしい展開に一生懸命ついていかなければならない。最後の部分は、予言的な...

  • The Long Walk

    Stephen King1979Gallery Booksp391スティーブン・キングがリチャード・ブキャマン名義で出した本の一冊。大学生時代に書いた作品というから、実質処女長編ということになるだろうか。Lexile指数という英語の本の難易度を示す指標があって、スティーブン・キングの中では本書がいちばん低く出ていたので(690L)、読んでみることにした。読んでみた感想だが、そこまで易しいというわけではなかった。かといって、難しすぎるわけで...

  • The Adventures of Huckleberry Finn

    Mark Twain1885Penguin Booksp394マーク・トウェインの代表作。1876年の「トム・ソーヤーの冒険」発表後、断続的に書き続け、9年後の1885年(明治17年)に完成。子供向けの「トム・ソーヤーの冒険」とは違い、奴隷制度が存在した資本主義勃興直前のアメリカ、南北戦争(1861-65)前の開拓時代の雰囲気を色濃す人々の暮らしやミシシッピー河畔の牧歌的な風景を背景に、浮浪児ハックルベリー・フィンと黒人奴隷「ジム」の逃避行を、...

  • The Adventures of Tom Sawyer

    Mark Twain1876Penguin Booksp221ひさびさに英語の本を読んでみました。有名なペンキ塗りのシーンは、本書では15ページから。物語がはじまってすぐだ。つかみはこれでOK。出版は1876年。日本でいえば明治8年。「トム・ソーヤーの冒険」の英語は、アメリカでは8歳から12歳の小学校高学年が読むレベルの英語らしい。たしかにストーリーは単純。しかし、あちらの日常生活に使われている単語が多く、それも150年前のアメリカ、豊かな...

  • 藤沢周平全集 第3巻 市井小説短篇(3)

    藤沢 周平文藝春秋藤沢周平全集第3巻p629昭和54年から平成2年にかけての短編、36編を収める。市井ものの短編はこの巻で終わり。そろそろ武家物の厳しい世界を読みたくなってきた。【収録作品】驟り雨、遅いしあわせ、泣かない女、贈り物、歳月、ちきしょう!、虹の空、運の尽き、おばさん、亭主の仲間、時雨みち、幼い声、夜の道、怠け者、盗み喰い、滴る汗、追われる男、おさんが呼ぶ、禍福、おとくの神、失踪、帰って来た女、...

  • 藤沢周平全集 第2巻 市井小説短篇(2)

    藤沢 周平文藝春秋藤沢周平全集第2巻p605昭和50年から53年の短編、30編を収める。風景描写というのは、背景や状況の説明に用いられる部分で、たいていの場合は退屈である。できればなくしてもらいたいぐらいのものなので、ふつうはさっと読んでしまう。すぐれた作者の場合は、そうはいかない。田舎の子供のころ、ふと感じた寂寥感を、これほど見事にあわらしてる文章は初めてだ。どうしてこんなことを覚えているのだろう。 川端...

  • グローバリズムが世界を滅ぼす

    エマニュエル・トッド/ハジュン・チャン/柴山 桂太/中野 剛志/藤井 聡/堀 茂樹文藝春秋文春新書p246写真で分かるように、エマニュエル・トッドが表看板の本だが、彼が語る場面は、他の著者よりそう多いわけではない。グローバリズムが経済的繁栄をもたらすという理論は、じつは根拠がなく、逆に世界に不公平と混乱をもたらす元凶であることを、座談会およびそれぞれの論文でわかりやすく説いた本。...

  • 戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

    加藤 陽子朝日出版社p475「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」に続く、最新の研究に基づく現代史講義。前作と同じく、主に高校生を対象としているので、たいへんわかりやすい。かといって、レベルを落としているわけではないので、読み飛ばしていてはすぐついていけなくなる。前作に比べると説明が丁寧すぎてスピード感がなく、読み終わるのにちょっと苦労した。...

  • 学校が教えないほんとうの政治の話

    斎藤 美奈子筑摩書房ちくまプリマー新書p207そんなに目新しいことは書いていない。高校を卒業して大学に入ったばかりとか、社会に出たばかりとか、政治に触れ始めた若い人にとって役に立つ本。...

  • キリング・フィールド

    クリストファー・ハドソン水野谷とおる=訳角川書店角川文庫p366映画「キリング・フィールド」は、この映画の主人公であるアメリカ人記者シドニー・シャンバーグが、雑誌に発表した手記をもとに制作された作品。本書は、その手記と、映画のシナリオをもとに、作家のクリストファー・ハドソンが小説化したもの。映画のノベライゼーションである。映画の中では分かりずらかった部分の解説にもなっている。...

  • 在宅医療から石巻の復興に挑んだ731日間

    武藤 真祐:監修 高齢先進国モデル構想会議:編日経BP社 p220 東日本大震災に逢った石巻市で、被災者救済のために在宅医療に取り組む拓ホームクリニックの武藤真祐ドクターと、さまざまな協力者による活動の記録。  こういう活動記録は非常に貴重。 なにより、メンバーの活動ぶりに、思わず目頭が熱くなる。 ...

  • 統計学が最強の学問である データ社会を生き抜くための武器と教養

    西内 啓ダイヤモンド社p308数年前に非常に評判になった本。気にはなっていたのだが、ようやく読むことができた。サブタイトルにあるように、「データ社会を生き抜くための武器と教養」として、統計学は知っておかなければならない知識であることが、よくわかった。統計学への入門書として、優れた本。...

  • なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

    中島 聡文響社p286「ラストスパート志向」が諸悪の根源。ロケットスタートで、与えられた期間の2割の期間で8割まで終わらせる。10日でやるべきタスクだったら、その2割の8日間で、8割終わらせるつもりでフルパワーで仕事をすること。その間、マルチタスクはをやめ、メールは気にせず、その仕事だけに集中する。そのためには、早朝の時間が大事。「ロケットスタート時間術」を使えば、質の高い仕事を、必ず期限内に遂行でき...

  • 医療レジリエンス-医学アカデミアの社会的責任

    編集代表:福原俊一医学書院p134京都大学医学研究科社会健康医学系専攻(京都大学SPH)のPRのために作った本のようだが、中身は意外にしっかりしていて、健康と医療に関する内外の著名な研究者の簡単なレポート・対談が集められている。2015年に京都大学で開かれた世界健康会議の地域会議の内容をまとめたものらしい。...

  • 超高齢社会 第4弾 未知の社会への挑戦 

    監修:辻 哲夫・久野 譜也・本田 茂樹時評社p239冒頭の、辻哲夫 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授と、嶋津昭 公益社団法人ラグビーワールドカップ2019組織員会事務総長という、異色の顔合わせによる対談は興味深かったが、そこはわずが20数ページ。残りは、各省庁の政策ペーパーと、自治体・企業の事例集をかき集めてホッチキス止めしただけの本。こんなヤクザなつくりで1500円以上も取るとはひどい話だ。政府刊行物と...

  • 日本企業は何で食っていくのか

    伊丹 敬之日本経済新聞出版社日経プレミアシリーズp261人に勧められて読んでみたのだが、ほとんど響かなかった。書いてあることが、あまりにまっとうすぎて、逆に平板に感じられたせいだろうか。もうすこし、毒がある方が、読み物としては面白いのかもしれない。...

  • 病院の世紀の理論

    猪飼 周平有斐閣p330病院における治療という形態が、特定の時代の特定のパラダイムにほかならないことを、江戸時代以降の日本の医療の歴史を丹念にたどりながら解き明かした画期的な書物。もちろんこちらは医療の専門家ではないので、専門家からの、すでにこうした類書があって、本書の内容は別にそう新しいものでもなんでもないんだという意見もあるのかもしれないが、たぶんそういう本はなかったのではないか。そうであれば、...

  • 白き瓶 ~小説 長塚 節~

    藤沢 周平文藝春秋社文春文庫p612長塚節(たかし)といえば「土」。名前と作品名は、学校の教科書で習ったことがあるが、これまで関心を持ったこともなく、藤沢周平を読んでいなければ、まさか伝記を読むこともなかったはずの作家である。長塚節が正岡子規の弟子で、歌人であったということも本書を読んではじめて知った。作者が得意とする時代小説とちがって、あざやかなストーリーの展開はなく、綿密な資料の調査に基づき、や...

  • 藤沢周平全集 第6巻 士道小説短篇(3)

    藤沢 周平文藝春秋藤沢周平全集第6巻p573昭和48年から平成2年の作品から、比較的長い短編を18編。「決闘の辻 新刺客伝」は、宮本武蔵、柳生但馬守宗矩などの剣客を扱った短編集だが、老境の宮本武蔵を描いた「二天の窟」が面白い。【収録作品】玄鳥、三月の鮠、闇討ち、浦島、鷦鷯、又蔵の火、逆軍の旗、相模守は無害、二人の失踪人、上意改まる、幻にあらず、長門守の陰謀、振子の城、決闘の辻-新剣客伝(二天の窟 宮本武蔵...

  • 絶対に受けたくない 無駄な医療

    室井 一辰日経BP社p271米国の医学界が不要・不適切としている治療方や検診が、日本ではさかんに行われているということはわかったが、といって、ここに記載された100項目は、あまりに専門的すぎて、読んでもどうにもならないな。まあICスキャンをやたらに勧める医者は怪しいということだけはわかった。手術や検査も同様。でも、そうでない医者っているのかな。...

  • 日本のお医者さん研究

    森 剛志/後藤 励東洋経済新報社p205日本のお医者さんはどのような人なのか、アンケートを中心に、働き方や考え方、年齢階層など、アンケートや統計を中心に説明した本。タイトルを見て面白そうな本だと思って読んでみたら、集めたデータをそのまま投げ出したような内容で、ちっとも面白くなかった。どんな人がこの本を読むのだろうかと、不思議に思った。...

  • 競わない地方創生~人口急減の真実

    久繁 哲之介時事通信社p252ビジネスの論理から言えば、弱者(地方都市)の経営は、強者(大都市)を真似てはいけない。そういわれれば、まったくそうだ。言われてみないことにはわからないものだ。その他、刺激的な提案があちこちに出てきて、なかなか興味深い本だった。...

  • それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと

    林 英恵あさ出版p234平易に書かれていて手軽に読めるけれども、伝わってくるメッセージは、深くて熱い。研究と仕事を両立させている著者による、社会人入門書的な内容ですが、凡百のビジネスを遥かに凌ぎ、なかなかの良書です。...

  • 医療・介護改革の真相~日本の社会保障制度を守るための提言

    松山 幸弘日本医療企画p198財務諸表分析により、社会福祉法改正のきっかけを作った筆者による、日本の医療制度改革に関する提言。非営利ホールディングカンパニーの必要性を説いている。...

  • 年金、民主主義、経済学

    権丈 善一慶應義塾大学出版会再配分政策の政治経済学Ⅶp482著者の論旨は明快。しかも舌鋒鋭く、中途半端な自称年金学者らを批判してやまない。本書でもたびたび取り上げられている「社会保障制度改革国民会議」。平成24年から25年にかけて、全部で20回開催されているが、その議事録も読んでみた。なんとこちらはもっと過激で、総理官邸で開催された会議で、政府関係者がいる前で、委員として参加した著者は、当の本人たちを面と向...

  • 医療介護の一体改革と財政

    権丈 善一慶應義塾大学出版会再配分政策の政治経済学Ⅵp452社会保障を論じてこれだけ痛快で、しかも現実政治と切り結んでいる本は他に例がない。読むのをやめられない面白さ。民主党政権の無責任さが嫌になるほどわかってしまう本でもある。...

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